「アユの妹」橋本環奈『おむすび』で思い出した、名前を消された「人気者のきょうだい」の苦しみ
「アユの妹」と呼ばれる結への共感
「家族も学校もみな姉のことばかり。結(ゆい)ちゃんの“姉・歩(通称“アユ”)の呪縛”が、見ていてなんだかつらい」と話すのは、介護などの「きょうだい格差」に関する記事を不定期に寄稿しているエディターでライターの佐々木美和さんだ。 【マンガを読む】親の介護、家業、夫の世話まで…「自分の時間」がなかった50代女性 「結ちゃんの姉の呪縛」とは、現在放映中のNHK朝の連続テレビ小説『おむすび』で描かれているもの。橋本環奈が演じる主人公・米田結には、「伝説のギャル」と呼ばれたカリスマギャルの姉・歩(仲里依紗)がいる。地元のギャルたちにとっては永遠の憧れだ。姉は問題児ではありながらも教師や地元の人たちも記憶に深く刻まれる存在で、結に対する周囲の人たちの認識は、「アユの妹」だ。家庭でも家を飛び出した姉は、家族の心配と後悔の種となっている。 SNSでも 「みんな結ちゃんの顔を見るたび、アユ、アユ、うるさい！ 結ちゃんに注目して」 「“〇〇の妹”って言い方は最悪。デリカシーがなさすぎ。“結”というきちんとした名前があって、人生があるのに」 「私も○の妹って言われて、子どもの頃めちゃくちゃ嫌だったことを思い出した」 「学校の担任から、“アユの妹”とクラスメートの前でバラされるのありえない」 と憤るコメントも多い。 佐々木さんも小中学時代に同じような経験があったという。 「ドラマとは状況は異なりますが、私の場合、姉ではなく兄(仮に、名前をタケシとする)でした。結ちゃん同様、自分の名前ではなく、“タケシくんの妹”が私の名称でした。あの頃は、自分の人生の中でもっともダークサイド、暗黒の時代……、兄の呪縛に常にがんじがらめになっていました。今振り返ってみるとそんなに憤ることでもなかったのかもしれませんが、当時は私も子どもで自分という存在を感じられない苦しさがありました。 今、介護などの「きょうだい格差」をテーマに取材を進めていますが、家族の問題を探ると、結ちゃんや私のように、きょうだいの呪縛、家族からの差別や格差に苦しめられている人は少なくないと感じています」と語った。 今回、『きょうだい格差』の番外編として、佐々木さんが子どもの頃に背負っていた “きょうだいの呪縛”「タケシくんの妹」について寄稿してくれた。
