大水害90年、復興へ願い重ね 北國大花火川北大会
●北陸最大級、光の大輪2万発競演 第39回川北まつり(実行委主催、北國新聞社共催)のフィナーレを飾る北國大花火川北大会(北國新聞社主催)は3日、川北町の手取川簡易グラウンドで行われ、北陸最大級の約2万発が真夏の夜空を華麗に染めた。今年は手取川大水害の発生から90年の節目となり、町民は光の大輪にふるさとの復興に尽くした先人への感謝と、能登半島地震の被災地復興へ願いを重ねた。 【写真】豪快な火柱を上げる大かがり火 大会は午後8時15分、太鼓の乱打に合わせて4195発のスターマインで幕を開けた。全国の花火師の創作性あふれる北國芸術花火などの多彩な花火が披露され、約12万人(主催者発表)の観衆が手取川上空を焦がす音と光のショーに酔いしれた。 会場には町内に身を寄せる被災者約20人が招かれ、被災地にエールを送る「祈りの鎮魂花」では10号玉の「椰子菊先変化(やしぎくさきへんか)」やツインスターマインが柔らかな光の輪を描き続けた。珠洲市蛸島町から家族で避難している多原美佐子さん(58)はこの日が誕生日の前日に当たり「こんな感動する花火は見たことない。元気をもらえた」と感激した様子だった。 フィナーレでは個人協賛を募った2660発の「川北爛漫(らんまん)」、6663発の「かがやき溢(あふ)れる未来へ」が披露され、カラフルな光のシャワーが夜空をキャンバスに色彩美を広げた。 「川北が誇れるイベント。開催を待ちわびていた」と話すのは川北町草深の佐野隆雄さん(74)。協賛者席「大かがり火席」を確保した白山市福留南の岡山真也さん(44)と長女こはくさん(10)は「今まで見た中で一番きれい」「夏休みの宿題の日記に書きたい」と声を弾ませた。 レクサス金沢御影(金沢市)が能登の食材を使った料理を楽しむオーナー向けの催しを企画。150人が同市木倉町の料理店「CRAFEAT(クラフィート)」が提供した七尾産サザエを使ったライスコロッケやいしる唐揚げに舌鼓を打ち、華やかな2万発のショーを楽しんだ。 花火に先立ち、川北まつりのメイン行事「音と光の祭典」が行われ、太鼓演奏やかがり火踊りが繰り広げられた。町民が地区ごとに送り火を掲げて入場し、高さ約40メートルの大かがり火に点火され、90年前の大水害の犠牲者の霊を慰めた。 花火大会の模様は金沢ケーブルとエフエム石川が生中継した。