和田秀樹 がんが見つかれば手術や抗がん剤治療が待っている。予測される寿命が<10年以内>の人ががん検診を受ける意味は…
◆寿命10年以内のがん検診はほとんど無意味? アメリカでは米国内科専門医機構財団が医療のプロフェッショナリズムに基づき、患者・市民が本当に役立つ医療を賢く選択できるように、2012年から「チュージング・ワイズリー・キャンペーン」が展開されています。 そこでは、無駄とされる医療もいくつか提示されていますが、そのひとつに「予測される寿命が10年以内の人ががん検診を受けるのは、ほとんど無意味」としているのです。 とても悲観的に聞こえますが、高齢者のがんは進行が遅いので、放っておいても10年くらいは生きられることが多い。 つまり「受けても受けなくても寿命はさほど変わらない」という意味が含まれている、と私は思っています。
◆方向性を決めておくことが大切 それでも、やはり心配だからがん検診を受けておこうと言う人もいるでしょう。 その場合、検査を受ける前に、がんが発見されたときにどうするかを考えておくことが大切です。 もし、つらい治療はしたくないと思うなら、がん検診でわざわざがんを見つける必要もないと思います。 病院のベッドに寝たきりになってでも、がんと闘うのか。それとも、残りの人生、がんと共存しながら日常を楽しんですごす方法を探していくのか。 これは、個人の価値観で大きく分かれますが、いずれの場合もある程度の方向性を決めておくことが大切です。 年を重ねれば重ねるほど、がんが見つかる確率は高くなるので、いざ見つかった場合、どうするかを考えておかないと、あれよあれよと医者のおすすめコースの治療が始まってしまいます。 ※本稿は、『医者にヨボヨボにされない47の心得 医療に賢くかかり、死ぬまで元気に生きる方法』(講談社)の一部を再編集したものです。
和田秀樹
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