日立、2024年度の通期業績見通しを上方修正--中期経営計画達成に自信
日立製作所は、3カ年の「2024中期経営計画」の最終年度(2024年度)を迎えている。既に主要な指標(KPI)の計画達成が視野に入っていることを強調してきた同社だが、2024年度上期(2024年4~9月)の連結業績発表に合わせて、通期業績見通しの上方修正も発表。計画達成をより確実なものにして見せた。 新たに発表した2024年度(2025年3月期)の通期業績見通しは、売上収益が1500億円増で前年比5.9%減の9兆1500億円、Adjusted EBITは据え置きとなる12.7%増の1兆350億円、当期純利益も据え置き1.7%増の6000億円とした。 売上収益の計画は前年割れのままだが、これは2023年10月に連結対象から外れた日立Astemoを含めた比較であるため、日立Astemoを除く「デジタルシステム&サービス(DSS)」「グリーンエナジー&モビリティ(GEM)」「コネクティブインダストリーズ(CI)」の3セクターでは、売上収益が前年比7%増、Adjusted EBITは195億円の上方修正で、前年比23%増の1兆500億円となる。 10月30日に業績を説明した執行役専務 CFOの加藤知巳氏は、「セクター別にはGEMの売上収益とAdjusted EBITを上方修正した。3セクターでは増収増益にあり、3年間累計のコアフリーキャッシフローも目標を3000億円上回る1兆5000億円の見通しだ。2024中期経営計画のKPIはおおむね達成できる」と、計画達成への自信を改めて強調した。 2024中期経営計画のスタート時は、2024年度の売上収益10兆円を掲げていたが、この中には日立Astemoの2兆円が含まれていた。これを除いた3セクターの当初の計画は8兆4000億円であり、今回予想の9兆1500億円は大幅な過達になる。 今回の上方修正はGEMになる。同セクターの2024年度上期実績は、売上収益が前年同期比33%増の1兆7857億円、Adjusted EBITAが732億円増の1529億円と高い伸びで増収増益を達成している。高圧直流送電(HDVC)に加えて、変圧器や開閉装置などが伸長した日立エナジーや、鉄道ビジネスユニット(BU)での信号事業を中心とした仏ThalesのGTS部門買収による売り上げの増加が要因だ。 また、受注高は、前年同期比42%増の3兆1154億円。海外の大口保守サービスの契約を締結した鉄道BUと、HVDCが好調な日立エナジーが大きく伸長したほか、原子力事業も国内大口契約により増加している。日立エナジーの受注高は18%増の1兆9660億円となった。 GEMの上期受注高は、上期売上収益を大きく上回っている。つまり、今後も力強い成長が続くことが示された。 2024年7月に、GEMの中核となる日立エナジーのCEO(最高経営責任者)に就任したAndreas Schierenbeck(アンドレアス・シーレンベック)氏は、「日立エナジーにおける売上収益の年平均成長率は12~14%を想定しており、将来的には、売上収益300億ドルを目指す。2024年度のAdjusted EBITA率も10.5%に上方修正し、収益性も劇的に改善している。プロフィッタブル、サステナブルな成長の旅路がこれからも続く」と胸を張った。