主力2人を欠くも団結し、プレミア勢を追い詰める戦い。桐光学園は「また一つ一つしっかり努力をして」選手権日本一に挑戦
[7.31 総体準々決勝 昌平高 2-2(PK4-2)桐光学園高 JヴィレッジP3] 【写真】「美しすぎ」「逮捕されたい」なでしこMFの1日警察署長に称賛続々 主軸2人を欠く中で、団結力、ハングリー精神を持って戦い抜いた。桐光学園高(神奈川1)は最近6大会のインターハイで4度目となる8強入り。昌平高(埼玉)との準々決勝は前半を2-0で折り返した。 「自分たちは前から行って、いい守備してから攻撃に繋げるんで。今日の朝から昌平対策として色々やってきたんで、それが出せて良かった。前から行って、8番の選手(昌平MF大谷湊斗)だったり、そういう選手に好きにさせないように、(後方から)中盤の選手を押し上げてしっかりと前から行くっていうのを意識していました」とCB青谷舜(3年)。技術面に秀でた昌平に前から制限をかけて良さを出させず、逆にCKからFW浦上大和(3年)が先制ヘッドを決めると、10番MF吉田晃大(3年)のPKで突き放した。 2-0で前半を終了。主将のCB杉野太一(3年)は「(ハーフタイムに)『2-0、一番危ないぞ』っていう声掛けは全体で統一してあったので、後半の入りからしっかり締めて入ろうっていうのと、勝さん(鈴木勝大監督)からは『守備からもう一回入り直そう』って話だったんで、自分たちは(後半も)守備からいい攻撃に繋げていければなと考えていました」と振り返る。 後半、選手交代でギアを上げてきた昌平に9分で1点を返されたが、ベンチから「粘り強く!」「切り替え!」という言葉が飛ぶ中で選手たちは奮闘。相手にボールを支配され、押し込まれながらも粘り強く守り続け、ショートカウンターやセットプレーで3点目のチャンスを作り出した。だが、重圧を受け続けたチームは後半34分に守りが決壊し、痛恨の失点。今大会3度目のPK戦で敗れ、準決勝進出を果たすことができなかった。 鈴木勝大監督は「(1点差とされ、我慢強く戦うことを強いられる中、)交代の層とか そういったところで今後変化がつけられるような、そういうチーム作りをしていかないといけない」と課題を挙げる。 ただし、今大会は実力派のGK大村明裕(3年)を開幕直前の怪我で欠く中での3試合。3回戦で注目エースFW丸茂晴翔(3年)も負傷離脱していた。指揮官は団結して戦った選手たちを高く評価する。 「オリンピックを見てもそうですけど、どんなスポーツも最後は戦術とか技術とか上回るチームとしての団結力っていうのはあると思います。今年はそういうことに取り組める世代。この大会の戦い方とか、トーナメントの入り方とか、良さとして見れた部分もあるし、もちろん、まだ足りないところがあったので、そういう部分もまた(プリンス)リーグと神奈川の厳しい(選手権)予選の中でしっかり成長できるようにやっていきたいと思っています」(鈴木監督) 現在、プリンスリーグ関東2部に所属する桐光学園はこの日、上位カテゴリーのプレミアリーグ勢と渡り合う力があることを証明。鈴木監督は「(大会前からプレミアリーグ勢に注目が集まっていたが、)土俵に上がれば(カテゴリーなど)そういったことは関係ないんで、そういうハングリー精神を持たせてやって、彼らは今持てる力の中ではやってくれたと思いますし、次に繋がる大会にできたんじゃないかなと思います」と目を細めていた。 敗戦の瞬間から、冬へ向けた戦いがスタート。指揮官は涙する選手たちに対し、「メンバーに入れなくて頑張ってる子もいる」と登録メンバーに相応しい立ち振舞を求めていた。そして、「悔しさを晴らすために、また一つ一つしっかり努力をしていこう」とメッセージ。選手たちは敗戦を糧に、より逞しくなって日本一に再挑戦する。 杉野は「(今日は)自分たちの粘り強さをもうちょい出せたかなとは思います。勝負強さってところが昌平と自分たちで差が出たかなとは思います。もっと層を厚くしていきたい」と語り、青谷は「(2点を追いつかれ)それが自分たちの弱みなんじゃないかなと、この試合で改めて感じました。選手権はもうやるべきことをやるだけ。(まず神奈川で)勝てるようにしていきたい」と誓った。昨年度はインターハイで全国準優勝も、選手権予選準決勝で敗退。今年はより大きな成長曲線を描き、冬の全国舞台で躍動する。