被弾したロシア戦闘機のパイロット、墜落していく様子を「上空から」撮影していたレア映像が話題
<かなりの高度でパイロットが脱出していることから、墜落したロシア機はSu-30/Su-35戦闘機かSu-34爆撃機だった可能性が指摘されている>
ロシアの戦闘機が地面に墜落していく瞬間を捉えた映像がSNSで拡散している。撮影したのは同機が被弾した後、緊急脱出して自らもパラシュートで落下中だったロシア航空宇宙軍(VKS)のパイロット。墜落する航空機を「上から」撮影した珍しい映像は専門家たちによって拡散され、ネットで注目を集めている。 【動画】撃墜されたロシア戦闘機のパイロット、墜落していく様子を「上空から」撮影したレア映像 この映像は、戦争支持ブログ「War, History and Guns」を運営する親ロシアの軍事ブロガー、キリル・フョードロフがテレグラムで共有したものだ。 「VKSパイロットが記録した映像。脱出の数秒後、『先端のマルチメディア機能』搭載の端末をポケットから取り出した。その端末がポケットに入っていたのは純粋な偶然で、当然ながら『戦闘任務のみ』に使われていた」。50万超の読者をもつフョードロフはそう解説している。 フョードロフは撃墜された戦闘機の種類も、映像が撮影された日時や場所も明らかにしなかった。ただ、パイロットは無事だったと伝えている。「追伸。撮影場所や時刻は教えない」「追追伸。パイロットは生きていて無事だ。勇敢な鷹としてウクライナ人を相手にする用意がある!」 映像はウクライナ内相の元顧問、アントン・ヘラシチェンコによってX(旧Twitter)でも共有された。「撃墜されながら脱出できたロシア人パイロットの映像がネットに投稿された。彼は自分と自分の機体の落下をスマートフォンで撮影した」 ヘラシチェンコはそう述べ、「雲の上で、かなりの高度で脱出していることから、操縦していたのはSu-30/Su-35戦闘機かSu-34爆撃機だった可能性がある。パイロットの冷静な行動から判断すると、同機はロシアの後方奥深い場所で撃墜された」と推測している。 ■ロシア軍はウクライナ戦争で航空機の約10%を失った 2022年に始まったウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵攻を通じ、ロシア空軍は大勢の死傷者を出してきた。本誌はロシア国防省に電子メールでコメントを求めている。 ウクライナ軍はこの戦争を通じて多数のロシア軍機を撃墜している。アメリカ欧州軍のクリストファー・カヴォリ司令官は4月に米議会で、ロシア軍はこの戦争で航空機の10%前後を失ったと報告した。 今年2月にはウクライナ国防省が、わずか3日でロシアの戦闘機6機を撃墜したと発表した。 オランダのオープンソース防衛情報分析サイト「Oryx」は、ウクライナで戦争が始まって以来、ロシア軍機109機が破壊され、12機が損傷したことを視覚的に確認した。ウクライナ軍側については93機が破壊されて3機が損傷し、1機が拿捕されたことをやはり視覚的に確認している。 ウクライナ軍参謀本部は5日の最新情報で、ロシアは全面侵攻開始以来、365機を失ったと伝えた。本誌はこの数字について独自に検証はできていない。
イザベル・ファン・ブリューゲン