授業中の短い「スマホ休憩」が学生の成績向上につながる可能性 研究結果
大学の講義中に短い「スマートフォン休憩」を挟んだところ、学生が講義を聴きながらスマホに触る頻度が下がり、小テストの成績が上がったとする研究結果が2日、学術誌Frontiers in Educationに発表された。学生のスマホ使用と成績への影響をめぐっては激しい論争が続いている。 この最新研究では、米中西部の大学で1学期間にわたり、平均21人の学部生が出席する講義22回分のデータを収集した。 学生を大きく2つに分け、一方には講義中にそれぞれ1分間、2分間、4分間の「テクノロジー休憩」を与えて、その間は各自のスマホを自由に使用してよいものとした。対照群の学生には、同じく1分間、2分間、4分間の「質問休憩」を与え、その間スマホの使用は許可しないが、自由に質問することを奨励した。 スマホ休憩を与えられた学生は、対照群と比較して講義に集中する傾向がみられ、小テストでもより高い点数を取った。 最も効果的だったのは、1分間のスマホ休憩だった。このグループの学生は小テストの成績が最も良く、教授が講義を行っている間にスマホに触れる頻度が少なかった。 休憩時間が短いほうが高い効果が出た理由を、この研究では明らかにできてはいない。ただ、1分間あれば短いテキストメッセージを読んだり送信したりするには十分だから、という理由が考えられる。したがって「多くのメッセージを送信できるだけの休憩時間があった場合、(休憩終了後の)講義中に多くの返信が届き、それにさらに返信する(ため講義中にスマホに触れる)可能性が高くなるのではないか」と、論文の筆頭著者である南イリノイ大学のライアン・レドナー教授は説明している。 携帯電話やスマホが学生の成績に悪影響を及ぼすかどうかについては議論の余地があるが、これまでの複数の研究で、講義中の携帯電話使用には利点よりも害のほうが大きいことが示されている。米国心理学会(APA)の研究論文によると、大学の講義中における携帯電話の短期的・長期的な使用は、テストの成績やGPA(成績評価平均値)の低下につながった。