「寝ても疲れが取れない…」それは寝不足ではなく『栄養不足』管理栄養士直伝の食事の工夫
疲れを取りたいときに意識して摂取したい栄養素3選
編集部: では、疲れを取りたいときに積極的に摂った方が良い栄養素は何でしょうか? 佐久間さん: 疲れを取りたいときに意識して摂りたい栄養素は大きく3つあり、「糖質・たんぱく質・ビタミンB群」です。さきほども言ったように、糖質は脳や体を動かすエネルギー源です。特に脳にエネルギーを供給するには糖質が欠かせません。また、ビタミンB群は、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に大きく関わる栄養素です。これがないと体にエネルギーを効率よく供給できません。そして、たんぱく質は筋肉やホルモンなどの体全体の機能調整に関わる大事な栄養素です。これらの栄養素が不足してしまうと、体に充分なエネルギーが供給できない・免疫力の低下につながるので、意識的に摂るように心がけましょう。 編集部: 疲れると甘い物が食べたくなるのはなぜですか? 佐久間さん: 脳や体を動かすエネルギーが不足してくると疲れを感じます。そのため、体はすぐにエネルギーを補おうと糖質を欲します。チョコなどの甘いお菓子は、比較的簡単に体や脳にエネルギーを供給できるので、疲れると甘い物を無性に食べたくなるのです。しかし、欲するままに甘い物を食べてしまっても疲労は改善しません。むしろ、眠気や体のだるさを感じてしまう可能性もあります。普段から栄養をしっかり摂り、疲れにくい体にしておくことも大事ですね。 編集部: 疲れを取りたいときの三つの栄養素のうち、「ビタミンB群」には種類がたくさんあります。そのなかでも、どのビタミンを摂れば良いですか? 佐久間さん: 疲れを取りたいときは、「ビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシン」を意識しましょう。ビタミンB1は糖質の代謝に関わる栄養素で、豚肉や玄米、大豆などに含まれます。ビタミンB6は筋肉やホルモンなど、体をつくるたんぱく質の代謝に関わります。鶏肉やマグロ、バナナなどが代表的な食品です。糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関わるナイアシンは、精神を落ち着かせるセロトニンをつくるためにも重要なビタミン。ほとんどの食品に含まれていますが、特に赤身肉やきのこに多いです。 編集部: たんぱく質はどんな食べ物から摂れば良いですか? 佐久間さん: おすすめは、たんぱく質もビタミンB群も摂れて一石二鳥の鶏肉や豚肉やカツオなどの赤身です。たんぱく質は筋肉やホルモンの主原料で、体を維持するのに欠かせません。赤身の肉・魚は、たんぱく質が豊富であり利用効率も高いのでおすすめです。また、豚肉や鶏肉やカツオはたんぱく質だけでなくビタミンB群も豊富な食品です。そのため、これらを食べる事でたんぱく質とビタミンB群の両方が補給できます。ただし、豚バラなどの脂質の多い肉類は胃の消化に時間がかかるので、胃疲れ防止のためにも赤身肉を選ぶようにしましょう。 編集部: 栄養素を摂るときに注意することはありますか? 佐久間さん: 注意したい点は、効率の良い組み合わせや調理方法を選ぶことです。例えば、ビタミンB1はアリシンという成分と合わせると吸収が高まります。アリシンはにんにくやねぎに多く含まれるので、豚肉とにんにく・ねぎのスタミナ焼きにして食べると疲労改善効果が高まります。また、ビタミンB群は水に溶け出しやすい栄養素なので、野菜であれば生で食べる・加熱調理のときはスープにすると、栄養素を余すところなく摂れます。