毎月10万円の年金だけでは生活が苦しく、「生活保護」の利用を検討しています。犬を飼っていても受給できるのでしょうか?
生活保護の利用を検討している方のなかには、犬や猫などのペットを飼っているケースがあります。ペットを飼うにはお金がかかるため、生活保護が受けられるか不安に思っている方もいるでしょう。 しかし、ペットがいること自体に問題はない可能性があります。今回は、生活保護の受給要件や、ペットを飼いながら生活保護を受ける際の注意点などについてご紹介します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
制度上はペットがいても問題ない可能性がある
生活保護を受給する条件は、以下の行動を起こしているうえでなお生活に困難が生じている場合です。 ●預貯金や生活にかかわらない土地・家の売却などをして生活費に充てている ●働ける状態なら働いている ●生活保護以外の給付を受けられるときは先にそちらを利用する ●親族などから支援してもらえるなら依頼する 条件からも分かるように、ペットの有無には言及されていません。そのため、生活保護の利用にペットの有無は影響しないと考えられます。
生活保護でできないこととは
奈良市の「生活保護Q&A」によると、定期預金や学資保険を始めとする貯蓄のような意味合いを持ち現金化できる保険は中途解約して生活費に充てる必要があると定めています。また、生命保険も資産扱いになるため、申告が必要です。ペット保険を始めとする保険を契約していたり、生活保護を受けながらも保険に加入したいときは、担当のケースワーカーに相談しましょう。 また、ペットと暮らしているとお金が必要になるため、生活保護費だけでなく働いて収入を得たいと考える方もいるでしょう。生活保護を受けながら働くこと自体に問題はありません。しかし、こっそり収入を得て申告しないままでいると不正受給と見なされるケースがあるため注意が必要です。 生活保護では収入や世帯の状況が変わったときは報告することが義務です。もし報告をせずに生活保護を受け続けると、多く受け取った分の保護費の返還を求められたり罰則の対象になったりする可能性があります。
ペットを飼っている方が生活保護を受けるときの注意点
ペットを飼っている方が生活保護を受けたとき、「ペットの分の生活費」は保護費に含まれません。つまり、ペットにかかわる費用は生活保護費からねん出する必要があります。 例えば、生活保護費として5万円を受け取っており、毎月1万円ほどペットのえさ代やペットシート代などにかけていたとしましょう。すると、生活保護を受けている本人が使えるお金は実質4万円です。 また、ペットが体調を崩したときは動物病院へ行くでしょう。そのときの医療費も実費負担です。もし入院や手術となり毎月5万円かかったとすると、実質年金だけで生活することになります。 ペットを飼いながら生活保護を受けると、こうした点により生活が苦しいままになるケースもあり得るでしょう。ペットを飼う前に、責任をもって最後まで世話できるのか、ペットのためにお金をねん出できるのかをしっかり考えてから決めることが大切です。