国鉄食堂車や小田急車両が仲間入り 引退車両の「終着駅」ポッポの丘、鉄道愛好家の聖地に
解体寸前だった貴重な引退車両を引き取って保存している鉄道公園「ポッポの丘」(千葉県いすみ市)に、新しい仲間が増えている。今年は国鉄の特急形寝台電車583系の食堂車「サシ581」、高度経済成長期の通勤輸送を支えた「小田急2200形」が加わって計30両に。蒸気機関車(SL)の搬入も目指す。引退車両の「終着駅」ともいえるポッポの丘。鉄道愛好家の聖地になりつつある。 【写真】CFでポッポの丘への搬入を目指す加悦鉄道4号機 ■老朽化で解体の危機 サシ581は今春、青森県八戸市からポッポの丘に移送された。昭和40年代に製造され、東京都と東北地方を結ぶ長距離輸送などで活躍した。引退後は八戸市の個人が保管してきたが、老朽化が進み解体の危機にあったところ、鉄道愛好家でつくる「583系食堂車保存会」(梅原健一会長)がクラウドファンディング(CF)で約2千万円を調達し、引き取った。 ポッポの丘としてCFによる保存成功例の第1号となったサシ581に続き、今年9月下旬には小田急2200形が仲間入り。東京都心と神奈川県内を結ぶ小田急沿線で生まれ育ち、小田急ファンの今井美槻さんら鉄道愛好家の熱意が実った。 「小田急2200形が解体される。どうするの?」。今井さんに今春、悲報が入った。連絡は長年、鉄道車両の保存に取り組んできた松葉実さんからだった。「待ってください。引き取ります」と答えたものの、時間も資金も余裕はなかった。 昭和29年にデビューし、改良型も含めて計46両が製造された2200形。高度経済成長期の通勤輸送を支えてきたが、50年代後半に順次、引退した。残った2両は山梨県内の企業の厚生施設として「第2の人生」を過ごしていたものの、敷地利用の関係で解体が決まり、今井さんに一報が届いたというわけだ。 ■CF返礼品は自前で 「自分にとって小田急の車両は日常生活で当たり前の存在。最近はかつて活躍した車両が減ってきているから、どうしても残したかった」 今井さんは今夏、松葉さんと共同で「2200形電車保存会」を立ち上げ、救出に乗り出した。搬送資金などを募るCFを7月からスタートした。あっという間に目標額を突破し、2両とも搬送するめどがついた。