F1の分配金の不平等はなぜ起きているのか?
フェラーリが最も多くの分配金を得ている理由を、昨年までF1を管理する会社の会長兼CEOとして契約を一手に担ってきたバーニー・エクレストンは次のように説明する。 「フェラーリはF1が誕生した年からF1に参戦し続けているという歴史がある。F1とフェラーリは切っても切れない関係にある。彼らにはだれよりも多くの分配金を得る権利がある」 この不公平な制度を改めようとした時期がある。自動車メーカーが多数参戦していた2000年代後半のことだ。2008年に全F1チームが加盟してF1チーム協会(FOTA)が設立され、コンコルド協定の不平等感を是正しようと試みられたものの、リーマンショックによる世界的な不況によって、自動車メーカーが相次いで撤退。その後、FOTAも解散された苦い歴史がチーム側にはある。 ただし、下位チームには一部のチームを優遇することに対する不公平感が根強くあることも事実だ。現在のコンコルド協定は2020年をもって失効される。そして、現在のコンコルド協定を締結させたエクレストンは、昨年末にすでにF1を管理する会社の会長兼CEOを解かれている。 コンコルド協定によってF1は興行としてオリンピック、サッカーのワールドカップに次ぐ地位を確保した。しかし、スポーツという面での透明性では多くの疑問が残されていることも確かだ。今後、F1がスポーツとして成長していくためには、2021年に新しく制定されるコンコルド協定にメスが入れられることは避けては通れないだろう。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)