フランス政府は脅迫には屈しない-財務相が予算巡り極右けん制
バルニエ氏が予算案を巡るRNの要求を飲んだにもかかわらず、ルペン氏が首相に再び突きつけた「最後通告」は、仏政界においてルペン氏が現在有する前例のない影響力を象徴している。
ルペン氏は予算案について「まだ難しい部分がある」と同国紙ルモンドに述べ、バルニエ氏に「残された時間は12月2日までだ」と言い放った。
左派連合の「新人民戦線(NFP)」は、政府が議会採決なしに法案を成立させる憲法第49条3項を適用する場合、不信任案を提出すると公言している。ただ、内閣を退陣させることができるのは左派もしくは極右のいずれかが提出した不信任案で両派が一致した場合のみだ。これにより極右を率いるルペン氏およびその議員らは事実上のパワーブローカーとなっている。
フランスのサンマルタン予算相は11月30日に報じられた現地紙とのインタビューで、RNによる予算案の修正要求には100億ユーロ(約1兆5800億円)近くのコストがかかると発言。フランス政府はこれ以上譲歩しないと述べた。
サンマルタン氏の発言に対し、ルペン氏はAFP通信で1日、仏政府は社会保障予算案の変更に関する「協議を打ち切った」と非難。自身の要求が満たされない場合には、RNは左派と手を結び倒閣を目指す意向を明らかにした。
RNのバルデラ党首は、政府が「頑固さと宗派主義」によって自らの存在を危険にさらしていると批判した。
RNによる好戦的な姿勢の強まりによって、市場ではルペン氏が倒閣に向けた準備を進めているとの見方が強まっている。
リスク指標として注目されるフランス国債のドイツ国債に対する利回りプレミアムは直近で一時90ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、2012年以来の最高水準を付けた。フランス株価指数の年初来パフォーマンスは10年以降で欧州各国の株式市場の中で最悪となる見込み。
フランス10年債利回りは先週、一時的にギリシャ並みの水準となった。ギリシャはかつて欧州債務危機の震源地となった国だ。