フランス政府は脅迫には屈しない-財務相が予算巡り極右けん制
(ブルームバーグ): フランスのアルマン経済・財務相は、極右政党・国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏が今週中にも倒閣を目指す用意があるとこれまでにないほど強く示唆したことに対し、政府はルペン氏の予算を巡る恣意(しい)的な期限を受け入れないと明言した。
RNは、バルニエ首相が2025年度予算案を修正し、年金の物価スライド制導入などの要求に応じない限り、不信任決議案を支持すると脅している。ルペン氏はバルニエ氏に対し、12月2日までに予算要求に応じるよう求めた。その回答に従い、内閣不信任に動くかを決定するという。
こうした中、アルマン氏は1日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「フランス政府は最後通告を受け入れない」と発言。「われわれは脅迫されない」と述べた。
仏政界で瀬戸際戦略が展開される中、債券市場では仏国債に対する投資家の評価が他の国債に比べて厳しくなり、先週にはフランスの借り入れコストが一時ギリシャ並みの高水準に上昇。バルニエ氏は金融市場に「嵐」が訪れると警鐘を鳴らした。
政治的困難と市場の動揺は、マクロン大統領による6月の国民議会(下院)解散総選挙発表からすでに始まっていた。
バルニエ氏が、2025年度予算案で争点の一つとなっていた電気料金への消費税引き上げを見送ると発表し、野党に大きく譲歩したことを受け、RNのバルデラ党首は「勝利」だとX(旧ツイッター)で宣言。続けて、さらなる要求を打ち出し、「ここで止まるわけにはいかない。他のレッドラインがまだ残っている」と主張した。
不信任投票は早ければ4日にも実施される可能性がある。
アルマン氏の発言を受け、2日のアジア市場序盤の取引ではユーロが下落。一時約0.4%安の1.054ドル近辺となった。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「フランスの政治的混乱は決してユーロの助けにはならない」と指摘。「不信任決議案が可決され政府が実際に崩壊すれば、不確実性が一段と増すだろう」と述べた。