2度の引退を経て再び代表へ。Wリーグ・吉田亜沙美が伝えたい「続けること」の意味「体が壊れるまで現役で競技を」
「休んでみる」ことで競技への想いや考え方が変わった
――トップレベルで戦い続けることがいかに大変かが伝わってきます。現在はデンソー アイリスに所属している馬瓜エブリン選手も2022-23シーズンに1年間の休養宣言をした後にWリーグと代表に復帰しましたが、吉田選手や馬瓜選手のように一定期間「休んで競技から距離を置く」という選択も、長い目で見て競技を継続するための一つの選択肢になりますね。 吉田:そうですね。もちろん、そのまま続けていけることがベストではあると思いますけど、私やエブリンのように、半年や1年間の大事な期間を過ごすのも一つの方法だと思います。ずっと勝負の世界に生きてきたので、私はやめた時に日常に刺激が足りないと感じて、「バスケットをまだやりたいんだな」という思いを再確認できましたし、勝ち続けなければいけないチームにいたからこそ、「もっと楽しめばよかったな」と、違う考え方もできるようになったので。本当にわがままな部分もありましたけれど、私自身にとってすごくいい時間になりましたし、一度競技から離れてみることが私には合っていたんだと思います。 ――今は「楽しむ」ことも大切にされているんですね。今後のキャリアは、どのようにイメージされていますか? 吉田:最後のチャンスだと思っているので、体が壊れるまで現役で競技をやりたいと思っていますし、今のアイシンウィングスというチームで出会えた仲間たちも、私自身の人生においてすごく大きな存在なので、この仲間たちと一試合でも多くバスケットを楽しみたいと思っています。あとは、パリ五輪という目標と夢ができたので、メンバーに選ばれるように頑張ること。それが今の一番のモチベーションになっています。 <了>
[PROFILE] 吉田亜沙美(よしだ・あさみ) 1987年10月9日、東京都出身。プロバスケットボール選手。Wリーグのアイシンウィングス所属。ポジションはポイントガード。東京成徳大高校からWリーグのJOMO(現:ENEOS)に入団。1年目から活躍し、高校3年生から日本代表に選出。リオ五輪ではキャプテンとして日本代表を20年ぶりのベスト8に導き、自身はアシスト王に輝いたが、2019年3月に引退を決断。東京五輪を目指すため、同年9月にJX-ENEOSで再び復帰するものの、五輪が延期隣、21年2月に2度目の引退を決意。東京医療保健大学で指導者の道に進んだが、23年4月にアイシンウィングスで2度目の復帰を決意。今年2月のFIBA女子オリンピック世界最終予選では最年長選手としてチームを牽引し、パリへの切符を勝ち取った。
構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]