取り組みをさらに拡大した「web3ホワイトペーパー 2024」の狙いとは:川崎ひでとweb3PT事務局長インタビュー【JBW Summit at IVS Crypto】
DIDは国が積極的に
「2つ目のポイントは今回、DID(分散型ID)を初めて提言に入れたこと。今、インターネットで何かのサービスを利用するときには、個人情報をプラットフォームに渡して、管理してもらっている。今後はそうではなく、自分自身で管理し、必要に応じて提供するという考え方が重要になる。そのためにもDIDを普及させていきたい」 Web3マスアダプションに向けたDID(あるいはウォレット)の重要性は業界関係者の多くが指摘している。Web3に取り組むさまざまな事業者がユーザーにDID/ウォレットを使ってもらうための試みを進めている。 「DIDは国が主導することを考えているのか」という質問に対して、川崎議員は「国・行政が積極的に関わるべきだと思っている」と答えた。 「新型コロナウイルスのワクチン接種証明アプリにはVC(Verifiable Credentials:検証可能な資格情報)が使われ、DID実現に向けた実装はすでに経験済みだ。また日本にはマイナンバーカードがあり、VC、DIDに統合していけばその有用性・可能性はより大きくなる」 5月末、岸田首相とAppleのティム・クックCEOがテレビ会議を行い、マイナンバーカードの機能がiPhoneに搭載されることになったニュースはインパクトを持って伝えられた。DIDはいろいろな事例が出てきているが「グローバルスタンダードはまだない」と川崎議員は述べ、「日本が主導して、日本の国内モデルがグローバルモデルとして通じるような設計を推進していきたい」と続けた。
AIは人間をサポートするもの
急速な進歩を見せるAI(人工知能)との連携、Web3における利活用も見逃せないテーマだ。ホワイトペーパーには「AI」の文字が頻繁に登場するうえ、web3PT座長を務める平将明議員は自民党「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」(AIPT)の座長も務めている。2つのPTが実質一枚岩であることは心強い。 「AIで今問題となっていることに、著作権があるものも含めてデータとして何でも読み込んでしまう問題がある。ブロックチェーンを使えば、著作権を明示し、『これは読み込み不可」と書き込むことができる。また逆にAIを使えば、誰でも簡単にスマートコントラクトを開発できるようになって、Web3はより身近な存在になる」 AIは「人間の仕事を奪う」などネガティブな面が強調されがちだが、人間の作業を支援する、サポートすることが本来の目的。 「Microsoftは、AIツールの名称を副操縦士という意味の『Copilot』とした。メインの操縦士である人間をサポートするということ。この考え方はすべてのAIに共通する」