柿の「肺」に潤いを与える働きで気管支トラブルを撃退【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】柿 空気が乾燥する秋から冬は、喉や鼻のトラブルが起きやすい季節です。長引く咳だけでなく、鼻詰まりまであってつらい……。そんなときは、「副鼻腔気管支症候群」かもしれません。上気道と下気道の両方に炎症が起こる疾患です。 副鼻腔炎の治療は進歩している(4)好酸球性副鼻腔炎は新薬の登場で再手術が減った 上気道の炎症性疾患として、まず「慢性副鼻腔炎」に伴う症状が現れます。鼻詰まり、粘り気のある鼻汁、鼻汁が鼻の奥から喉側に落ち込む「後鼻漏」などが挙げられます。また、下気道の炎症性疾患としては、「慢性気管支炎」や、何らかの原因によって気道が感染ないし炎症を繰り返して拡張する「気管支拡張症」などがあります。痰がからんだ咳、喉の違和感、微熱などの症状が現れます。 副鼻腔気管支症候群はこれらの症状が同時に見られるうえ、痰の絡む咳が長期間続くのも大きな特徴です。 シニアにとっては、咳は体力低下の大きな原因になります。また、鼻詰まりは食欲不振や頭痛などの症状も引き起こしがち。早めに改善して、生活の質を下げないようにしたいものです。 中医学においても秋は最も呼吸器系のトラブルが起きやすい季節とされています。呼吸器系をつかさどる臓器「肺」の働きが低下しやすいのです。 肺は大気中のきれいな「気」を吸い込み、汚れた気を排出する働きがあります。乾燥した空気の影響を受けやすく、外気の影響から肺が乾燥すると、その働きが弱りがちになります。その結果、咳や痰、喉の痛み、鼻詰まり、気管支炎といった呼吸器トラブルを引き起こしやすくなるのです。とくに、もともと肺が弱いタイプの人は、秋に体調を崩す傾向が強くなります。普段から喉が弱い、扁桃腺が腫れやすい、鼻の不調がある人は、悪化しやすいので注意が必要です。 改善のためには肺の機能を高め、潤いを与える食材を取り入れることが大切です。 おすすめは柿。肺に潤いをしっかり与えてその働きを強めるとともに、炎症を鎮める働きがあり、喉や鼻のトラブルに威力を発揮してくれるのです。咳、喉の腫れや痛み、鼻詰まりなどを感じたら、早めに取り入れたいフルーツです。また、体内の余分な熱を覚ます働きも高いので、口内炎や二日酔いの改善にも役立ちます。 柿の副鼻腔気管支症候群改善効果を高めるには、同様に肺を保湿して機能をサポートするナガイモ、レンコン、白ごま、ヨーグルト、牛乳、豆腐などと組み合わせるとよいでしょう。 ■柿高齢薬膳レシピ 柿とナガイモの白ごまクリーミーサラダ 肺に潤いを与えて喉や鼻のトラブルを改善する柿に、同様の働きを持つナガイモ、ヨーグルト、白ごまを組み合わせたサラダ。白ごまと味噌入りのコクのあるソースで、柿がおかずに変身。食感の違いも楽しいサラダです。 【材料】2人分 ●柿 1/2個 ●ナガイモ 8センチ ●A(ヨーグルト=大さじ2、オリーブオイル=大さじ1、白練りごま=大さじ1、味噌=小さじ1、レモン汁=大さじ1、白ワインビネガー=小さじ1/2、塩・こしょう=適量) ●クコの実 適量 【作り方】 柿とナガイモは皮をむき、太めの千切りにしてボウルに入れる。混ぜ合わせたAを加えて全体をあえる。器に盛りクコの実を散らす。 (池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)