「野球小僧の夢」 マツダスタジアムで一夜限りのキャンプ チケット販売1分で完売
「野球小僧の夢がかなった」。千葉県市川市の会社員、杉原貴宏さん(53)はパートナーの河合里枝さん(48)と外野の一角でキャッチボールを楽しんだ。フェリー泊などをしながら遠征したといい「神聖な場所でのぜいたくな時間を堪能したい」と話した。
グラウンドには、プロ野球観戦でなじみの売り子も。協賛企業のキリンビールのビールを売り歩いた高井一葉(いちは)さん(20)は「スタンドの階段ではなく、芝生の上を歩くのが新鮮」と笑顔をみせた。
グラウンドで目立つのは当然、カープのユニホームに身を包んだ赤ヘルファンだが、阪神タイガースのユニホームで敵地に乗り込んだ強者も。広島市佐伯区の男性会社員(60)は「ビジター球場としてよく来るが、グラウンドに降りることができて感動。二度とできない体験を買ったと思えば、安い」と喜んだ。
イベントでは、カープの若き守護神、栗林良吏投手と広島市出身のフジテレビアナウンサーで、カープファンの三宅正治さんらによるトークショーや、エースの大瀬良大地投手が参加した「西村キャンプ場」特番の収録もあり、カープファン、番組視聴者のキャンパー双方にとって、たまらないひとときになったようだ。
広島市中区の小学3年、池田鯉太郎(りたろう)君(9)は特番収録の中で、キャンプ飯をこしらえる大瀬良投手に、ある食材を提供した。「夢みたい。大瀬良投手には来季もノーヒットノーランを達成してほしい」と興奮冷めやらぬ様子だった。
5年前に「西村キャンプ場」を立ち上げたTSSの栗原昌哉編成部長は「地域活性化を図る中で地元放送局としていかにコンテンツを生かすか。今後も番組ファンとリアルに、深く、コミュニケーションを取れる機会を設け、来年開局50年を迎えるTSSのブランディング力を高めたい」と意気込む。
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特番「西村キャンプ場 ザ・ゴールデン」は来年1月10日午後7時からTSSで放送予定(他地域では、放送日時が異なる可能性がある)。西村さんのほか、タレントでカープファンの鈴木福さん、大瀬良投手が出演し、イベントに参加者から食材を分けてもらいつつ、マツダスタジアムでキャンプ飯に挑戦する。
取材を終えて 当日は空模様が心配されたが、午後にはキャンプ日和の晴天が広がった。話を聞いた参加者が一様に、幸せそうにイベントの魅力を語るのが印象的だった。今回の企画もテレビ局が持つコンテンツ力と地元球団との信頼関係があってこそ。既存メディアの底力を改めて感じた。(矢田幸己)