2025年 原発“新増設”元年~半世紀ぶりの原発建設に沸く町とは~
2025年、国の将来のエネルギー政策を見据えた「エネルギー基本計画」が3年ぶりに改定される。東日本大震災以降の原発方針であった「可能な限り低減」の文言は削除され、「最大限活用」とかじを切る。およそ半世紀ぶりの原発“新増設”に期待する町とは。(経済部・岩田明彦) 【地図】2024年11月現在 原発稼働状況
■半世紀ぶりの万博開催と原発建設
2024年末、政府の新しい「エネルギー基本計画」の素案が示され、原発については新たな建設方針が明記された。2025年は、原発の建設議論が加速する、“新増設”元年になるとみられる。 焦点は、どこに原発が建設されるかだ。 そのヒントとなるのは、東日本大震災前に決定していた“新増設”に向けた既存計画。 経済産業省の資料によると、以下の既存計画がある。いずれも震災前に地元自治体に示されていたが、2011年の福島第一原発事故の影響で計画は中断しているものである。 【震災前からある既存計画】(※着工済、計画廃止は除く) (1)東京電力 東通原発 2号機(青森・東通村) (2)東北電力 東通原発 2号機(青森・東通村) (3)日本原電 敦賀原発 3・4号機(福井・敦賀市) (4)中国電力 上関原発 1・2号機(山口・上関町) (5)九州電力 川内原発 3号機(鹿児島・薩摩川内市) (6)中部電力 浜岡原発 6号機(静岡・御前崎市) (7)関西電力 美浜原発 4号機(福井・美浜町) このなかでも関西電力・美浜原発4号機計画が“新増設”の最有力とみられている。 理由は、2023年に閣議決定された「GX基本方針」により「廃炉を決定した原発の建て替え」がすでに認められていること。美浜原発は1・2号機の廃炉を決めている。他の計画にも廃炉を決めた原発はあるが、活断層の問題などから再稼働すら果たせておらず、まして“新増設”にはまだ遠いのが現状だ。 関西電力の森望社長は2024年12月、日本テレビなどの取材に対し、「さまざまな検討が必要である」と前置きしながらも、「美浜原発は(建設)候補地の一つ」だと答えている。 1970年、美浜原発は、国内の商用原発としては東海原発(茨城県)に次ぎ、2番目に運転を始めた。同年に開催された第一回・大阪万博会場には、「万博に原子力の灯を」を合言葉に、美浜原発から電気が届けられたという。 あれから半世紀が過ぎ、奇しくも2回目の大阪万博の開催が間近に迫るなか、“新増設”の動きが加速するのかが注目されている。