石丸幹二さん「40代で劇団四季を辞めた時、プリンス的な役は卒業して自分の年齢に合う役を探してみようとリスタートしました」【今会いたい男】
ドラえもんカラーの装いで登場の石丸幹二さん。 『映画ドラえもん』ではどんな役を演じたのでしょうか。 【写真ギャラリーを見る】
心がけていることは「スキルを保つ、磨く、 そして加える」
声優として出演する『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』に合わせた、目の覚めるようなブルーのセーターが似合う石丸幹二さん。 「こういう鮮やかな色は好きで、ふだんから着ています。例えば、寒い時に羽織るパーカーはブルーですね」 ノーブルに微笑む石丸さんは、劇団四季出身の俳優で、舞台のみならず、近年は、テレビドラマ『半沢直樹』(TBS系)の敵役支店長などでも注目され、役の幅を広げている。 公開中の『映画ドラえもん』では、作曲家リヒャルト・ワーグナーに似ている“ワークナー”というキャラクターの声を担当した。 「歌うようにセリフを語る演出だったので、ワーグナーの楽曲のモチーフをいくつか使用してみることにしました。クラシックを学んでいた頃、僕の声はワーグナーを歌える、太くて重くてしっかりした声ではないと言われていたんです。荘厳なワーグナーを歌えるのは熟した声の持ち主なので、目指せ、いつかはワーグナー、と思っていたら、こんな形でモチーフを口にできることになるとは、まるで夢のようでした」 幼少期からピアノ、チェロ、サックスと様々な楽器を習ったのち、声楽を学び、俳優の道に進んだ石丸さん。楽器への愛は深く、映画でのび太が使っているリコーダーにも視線を注ぐ。
「大学時代、教育実習でリコーダーの授業もあり、カルテットを組んでいたこともあるんです。リコーダーといっても簡易なプラスチック製のものだけでなく、木製で本格的なリコーダーもあるんですよ。もしも無人島にひとつ楽器を持っていくとしたら、リコーダーかな。ポケットにしまえるから」 楽器の話になるとテノールの美声がますますなめらかになった。 現在、50代後半。俳優として熟成の域に一歩一歩向かっている。 「40代で劇団四季を辞めた時、そこまでやってきたプリンス的な役は卒業して自分の年齢に合う役を探してみようとリスタートしました。今は舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で父親になったハリーを演じていて。40歳くらいの設定で実年齢より若いけれど、生活感や人間臭さの表現を楽しんでいます」 熟年、熟練と言われるような俳優たちの演技を見て研究しているところ。 「『男はつらいよ』の渥美清さんや『寺内貫太郎一家』の小林亜星さんなどの演技からちょっと不器用な男性像を吸収したいと思っています」 常に心がけていることは「スキルを保つ、磨く、そして加える」だと言う。 「この身はひとつなので、今までやってきたことを磨くことで、新たなものを浮き彫りにしていきたいですね」