投資総額100億円! 急成長・コープさっぽろの物流戦略とは 「物流の2024年問題は、すでに先取り解決済み」
宅配事業のため、8億円のシステム導入を即断
北海道ロジサービスの物流戦略が最初に話題になったのは、2018年に導入した自動倉庫型ピッキングシステム「オートストア」でした。ノルウェー製のこの機械システムは、同じく本社が北海道にあるニトリが日本で初めて導入したものです。 それを知ったコープさっぽろ理事長の大見英明氏はすぐにノルウェーへ飛び、現地で交渉。その場で導入を決めたといいます。1台250万円の機械を70台導入し、システム開発費込みで8億円が投入されました。 コープさっぽろでは宅配事業に注力を始めていたこともあり、「ライバルはAmazon」(大見氏)という掛け声とともに、宅配事業のインフラ整備は最重要課題だったのです。 実際、オートストアを導入したことで、宅配事業の取扱品目はそれまでの9500点から現在の約2万5000点まで増加させることができました。
高橋「ニトリに比べて我々のようなスーパーマーケット事業においては、100円ほどの商品も多く、購入頻度も高いという点が大きく違いました。その分、どうしても条件が難しくなる部分がありましたが、システムをカスタマイズすることで導入を実現。 システム開発では数々のハードルがありましたが、外注ではなくコープさっぽろの自前のシステム部がそのほとんどを開発することで、ニーズに合ったものをつくることができました」 取扱品目数を大幅に増やせただけでなく、たまにしか売れない「低頻度」の商品の取り扱いも効率化。スペース、作業人員ともに3分の1まで減らすことができました。 高橋「このような自動倉庫型ピッキングシステムは、自動走行による定点ピックの一種ともいえます。そう考えると、このようなシステム自体はそれほど目新しくはないのですが、小売業者が宅配事業向けに導入したという点で、世間から画期的な施策と受け止められました」
グループ会社も「自走力」で稼ぐ道を模索
このような改革を次々と実現できた背景にあるのは、親会社にあたるコープさっぽろが物流戦略を最重要課題と見ていること、そしてグループ企業には「自走力」を求められることがあげられます。 高橋「例えば運送会社が値上げをするとなったときに、その分をそのまま商品価格に上乗せして値上げさせてくださいというのはなかなか通りにくいです。そうすると、自分たちでどんどん改善して効率化していくしかないのです。 日頃からそういう考え方が徹底されている、というのは大きいですね。 実際、弊社だけでも細かいものを含めて、現場から年間100事例ほど改善事例があがります。こういった細かい改善を積み上げていくことが、大きな改革へとつながっていく。それは全社員のマインドとしてしっかり共有されています」