投資総額100億円! 急成長・コープさっぽろの物流戦略とは 「物流の2024年問題は、すでに先取り解決済み」
この施策を始め、北海道ロジサービスの物流戦略の責任者として指揮を執るのが、同社専務取締役の高橋徹さんです。 高橋「ペーパーレス化はベンダーやメーカー、約400社と一緒に取り組むことで実現したものです。400社の同意を得るために、『将来的にこれがスタンダードになります』と一社一社を説得して回り、2年ほどかけてようやくかたちにできました」 物流伝票のペーパーレス化は他社でも導入が広がっており、この仕組みが日本全体で普及すれば、約3533億円の効果があると、TSUNAGUTEは試算しています。
1日あたりトラック29台減を実現した配送システム
「第24回物流環境大賞」(2023年度)の「低炭素物流推進賞」、「令和5年度物流パートナーシップ優良事業者表彰」の「物流構造改革表彰」を受賞したのは、商品をカテゴリー集約で配送することにより効率化した取り組みです。 他企業との共同配送を導入し、配車の統合、拠点の共同化も実現。2019~2022年の4年間で、1日あたり29台のトラックを削減、関係車両全体のCO2排出量を約10%減、トラックドライバーの拘束時間は年間5万4000時間減らすことができました。
この施策は物流の2024年問題解決に直結するものです。2019年から随時取り組みをスタートし、コロナ禍で物流量が膨れ上がったことでスピードアップして実現を進めてきました。 高橋「初年度の2019年度に取り組んだのは、出荷の集約です。これまでは常温品、低温品、日配、デイリー品などを低い積載率で運んでいる便もありました。それを徹底的に分析してカテゴリーを集約し、1台のトラックが運べるようにしました。 さらに、出荷の荷物を下ろした後は、センターに入荷する荷物を他社の分も含めてまとめて運ぶ仕組みの構築を強化。帰りに空の状態のトラックが走ることがなくなり、行きも帰りも荷物を運ぶようにしてトラックの配車効率を最適化しています」 この仕組みを実現するには、小売りの物流にあるこまごまとした制約をいかにクリアするかが鍵でした。 決まった時間に何トン車でないと入れないなど、店ごとにケース・バイ・ケースである細かい制約条件。それらの条件をクリアするために、人の知恵や作業を取り入れながら何度も調整を繰り返してきました。 高橋「現在、AI配車システムでの実証実験も進行中ですが、AIだけではなかなかすべてを解決できないのが実情です。細かいパズルを組み合わせていく中で、個別対応しなくてはいけない部分はまだまだありますね」