【トランプ爆勝!】その勝因と今後の日米関係のキーワードは「不安」と「安心」
トランプの睨みが中国を委縮させる
その一方で、トランプ勝利が日本にもたらした「安心」もある。最大の安心は、「中国の台頭」に、大きな足枷(あしかせ)がかかるだろうということだ。「トランプの睨(にら)み」が、中国を委縮させるのだ。 トランプ候補は今回の大統領選で、「中国製品に60%の関税を課す」「中国の最恵国待遇を取り消す」などと訴えてきた。ある中国の経済学者の試算によれば、もしこれらの公約がすべて実行されたなら、中国のGDPは最大2%減るという。 現在、中国経済は頗(すこぶ)る悪く、今年第3四半期のGDP成長率は4・6%まで失速している。これがもしも2・6%になれば、習近平政権はかなり動揺するだろう。 公言している「台湾統一」どころではなくなるに違いない。つまり、いまのロシアのように、中国が「大暴れ」するリスクが低くなる。これは日本にとって朗報だ。 ともあれ、一つ確実なのは、世界はますます「海図なき航海」に踏み出すことになったということだ。
近藤 大介(『現代ビジネス』編集次長)