レスと離婚は、誰にでも平等に訪れる。起業に成功したIT社長が、失った代償は「夫婦の絆と熱情」
起業と夫婦関係の変化
その後、会社を辞めて独立したとのことですが、起業を決意されたのはどんなタイミングだったのでしょうか? 「娘が3歳の頃、私は33歳で起業を決意しました。長年IT業界で働いていた経験を活かして、自分の会社を立ち上げたんです。最初の数年は本当に忙しかったですね。毎日遅くまで仕事をして、休みもほとんど取れない生活が続きました。会社を軌道に乗せるために必死だったので、家庭のことは妻に任せきりになってしまいました」 その時、奥さまとの関係に何か変化はありましたか? 「そうですね、やはりお互いに疲れきっていました。私は仕事、妻は育児と家事。お互いに負担が大きく、夜には疲れ果てて会話もなく、すぐに寝てしまうという日々が続いていました。これは言い訳なのですが、私としては妻に負担をかけないように外部のサービス、例えば家事代行やベビーシッターなども利用しましたが、結果的にそれが二人のすれ違いを生んでしまいました。私は『妻の負担を軽減している』と思っていましたが、妻は『私が直接家庭に関わってほしい』と感じていたんです」 日々のすれ違いが夫婦関係にどのような影響を与えたのでしょうか? 「次第に、妻との間に心の距離が広がっていきました。私は会社の成長に全力を注いでいて、家に帰る頃には、妻も娘も寝ているという状態が続いていました。週末もほとんど仕事で潰れてしまい、家族との時間が取れなくなりました。その時は、今は忙しいだけで、落ち着いたらまた妻と娘との時間を持てるだろうと楽観的に考えていましたが、その瞬間は一度も来ませんでした。仕事が成功するほど、さらに忙しくなっていったんです」
レスの顕在化と他の女性との出会い
では今回の取材の本題ですが、レスの状態に気づいたのはいつ頃ですか? 「娘が生まれてから、気づけば自然と夜の営みはなくなっていました。最初はお互いに疲れているからと理解していたのですが、次第にそれが当たり前のようになり、数年が経過しても何も変わらなかったんです。妻との心の距離がどんどん広がり、家に帰ると彼女がただの同居人のように感じることが増えていきました。いつしか、仕事に集中することでその孤独感を埋めようとしていたんです」 その後、他の女性との関係が生まれたとのことですが、その経緯を教えていただけますか? 「仕事のストレス解消のためにゴルフを始めたんですが、そこで3歳年上の女性と出会いました。彼女もゴルフが趣味で、週末に一緒にプレーするうちに親しくなっていきました。彼女は私を一人の男性として見てくれたし、実は彼女も経営者だったんです。それで意気投合してしまいました。同じ共通点があることが私にとって新鮮で、家で感じられなかった『求められている感覚』を与えてくれました。次第に彼女との関係が深まり、気がついた時にはもう後戻りできないところまで進んでしまっていました」 なるほど、ゴルフで出会ったのですね。その関係は奥さまにバレなかったのでしょうか? 「そうです。私は最後まで隠し通しました。絶対にバレないことが最低限のマナーだと思っていたんです。やってることはダメですが、それでも妻を傷つけたくなかったし、家庭を壊すつもりはありませんでした。仕事も家庭もバランスを取っているつもりでしたが、実際にはそううまくいくはずもなく、心の中では罪悪感を抱えていました。でも、妻に真実を伝えて苦しませることだけは避けたかったんです」