「俺は漁師をがんばるしかない」ズワイガニ漁 水揚げができる喜びと不安 能登半島地震
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輪島朝市の名物の一つが北陸の冬の風物詩「カニ」です。地震の爪痕が色濃く残る中で解禁されたカニ漁に密着しました。 【写真を見る】「今でも不安だらけ」ズワイガニ漁 水揚げができる喜びと不安 ■地震前の6割程度しか漁に出られない… 海底隆起で打撃 ズワイガニ漁に密着 輪島市で30年以上、底曳網漁を続ける沖崎勝敏さん(50)。 漁師・沖崎勝敏さん 「(今年のカニ漁は)5回目かな。きょうはちょっと時化。カニを獲れればいいなと思って出ている」 船を走らせること3時間半。 日が沈んだ午後6時、漁が始まります。 ズワイガニ漁は、約200メートルの海底に網を入れ、1時間ほど船で引っ張ります。 Q.多くないですか? 「小さいのが多いのではないか」 資源保護のため小さなカニは海へ返されます。 漁師・沖崎勝敏さん 「今でも不安だらけ。まだ港が全然良くなってないし。何度か(漁に)出られているけど…早く良くなればいいなと思うけれど、いつになるやら」 2024年1月 ヘリからのリポート 「隆起により港に水がありません」 漁師たちのなりわいの拠点となる港が壊滅的な打撃を受けた1年前。 輪島市や珠洲市では地震による海底の隆起で今なお、水揚げができない漁港もあります。 沖崎さんも半年以上、海に出ることができませんでした。 漁師・沖崎勝敏さん 「ごちゃまぜ。諦めもあるし、悔しいのはもう薄れてきたけど地震当初よりは。それでもやはり早く一歩でも徐々に進んでいくしかないし」 2024年9月から順次、漁の再開が叶った輪島港。 しかし、船の損傷や乗組員の不足から地震前の6割程度しか漁に出られない状況が続いています。 被災した港の荷捌き場。 海産物を分類したり、一時保管したりするための場所ですが3分の1は取り壊しが決まっています。 漁協は、荷捌き場を十分に確保できないことから、カニ漁では網を引き上げる回数を半分程度に制限。1回1回の網の引き上げに力が入ります。 漁師・沖崎勝敏さん 「とりあえずカニ解禁ができたことがよかったなと。無事に出られて良かったかなと思う」
弟・大佐さん(42) 「これだけで何十万だ。きょう1番でかいカニ」 地震によるカニ漁への影響が心配されていましたが、この日は豊漁。 輪島全体でも、水揚げ量は例年並みとなりました。 空が白み始めるころ、多くのカニを積み込んだ船は港へ。 水揚げができる喜びと不安の中、沖崎さんはまた漁に出ます。 漁師・沖崎勝敏さん 「まだまだ全然俺らにしてみたら、地震直後とそんな変わらないような感じはする。第一次産業が頑張って力をつけなければ、輪島の復興・復旧はまだまだかかるかなと思う。俺はもうやっぱり、漁師がんばるしかないかな」
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