最高水準の省エネ住宅をDIY! 光熱費4分の1以下、ZEH水準超えの断熱等級6の住みごこちを聞いてみた
もう1棟建てるなら? ハーフビルドでおすすめする工程は?
今、家づくりを終えてみての感想、夫妻ともに得たものはあるのでしょうか。 「本当の意味での建築の民主化は、ただ作業に参加するだけでなく、できなくてもいいからとにかく自分でやってみることだと思いました。今回、私たちは知り合いの山の杉やヒノキを使いたくて地元の林業会社、製材所に直接相談に行ったんですが、急峻で狭い山道から木材を運び出すのが難しく、搬出コストの問題で断念しました……。結果的に地域の製材所に津久井産材などの地元の木材を発注しましたが、日本の山が放置される理由と原因がわかり、山を見る目が変わりましたね」と収穫と課題感を口にします。 眼の前に建材適齢期の杉があるのに使えない、もどかしさ、苦しさ。顔の見える関係で建材を調達して家づくりをしたいと思っても、そう簡単にはいかないのには理由があるんですね。 「今回、自分たちでフローリングの製材(伐採した木を角材、板材として加工すること)もやってみて、いかに既製品が使いやすく、なぜ普及しているのかがよくわかったんです。仕上がりの精度や施工のしやすさがまったく異なるので。“仕上がりのラフさ”の許容範囲は人によって違うと思いますが、私たちは高い精度を追求するのではなく、本来の木の性質を活かした風合いが残っていてもいいし、施工時に多少の手間がかかっても、そこには人の手触りが残ってるからいいのでは、という結論に落ち着きました。画一化された商品以外の選択肢も含め、一般の消費者が自分の好みや許容度によって選べるようになればいいなと思います」と妻。 知っているのと体験したことがある、この2つには雲泥の差がありますが、まさに森川夫妻にとってはそんな家づくりとなったようです。
では、ハーフビルドやDIYでおすすめする工程があるとしたら、どのようなものがあるのでしょうか。 「工程を区切ってポイントで参加するのではなく、薄くてもいいからできるだけ広い範囲の工程に参加するのがいいと思う。毎週末土日に差し入れを持って見学するだけでもいいし、基礎から引き渡しまでの全工程が家づくりなので、とにかく多くの工程に関わるのが面白いです。もしDIYで参加するなら、土台組み、断熱施工、構造用合板を組むなどの完成後、目に見えない構造部分に関わるのがいいと思う。石膏ボードを張ったあとは、あとからリノベしたり塗り替えたりできるけど、石膏ボード張るより前の、構造に関わる部分はハーフビルドでしか経験できない領域だから。興味が湧いた方にはぜひおすすめです」(妻) 聞けば聞くほどに濃い「ハーフビルド体験」ですが、今、もう一軒、建てるとしたらどんな家を建てたいでしょうか。 「新築じゃなくて、中古を断熱改修して快適に住めるようにしたい。そのノウハウが広まればもっと快適な家が増えるはず。新築現場ではとにかく大量のゴミが出ます。もっと空き家が流通して、断熱改修でストック活用が必要だと、改めて思いました」といいます。