日産がけん引するも日本のEV販売台数全体は失速! 2025年に各メーカーから登場が予想される新モデルに期待しかない
国産の普通車がとくに売れていない
それでは、日本国内でどのようなEVが人気であるのか、とくに販売低迷が問題視されている日本メーカーのEVの販売動向を確認していきたいと思います。 まず初めに、2024年累計での主要自動車メーカー別のBEV販売台数の変遷を見てみると、やはり日産の販売台数が圧倒的な存在感を見せています。さらに、軽EV2車種をラインアップする三菱、およびテスラが続いている状況です。さらに中国BYDがトヨタ超えを達成している様子も確認可能です。 まず、テスラの月間販売台数の変遷を見てみると、10月はおよそ340台を達成しています。とくにテスラジャパンはQ4からモデル3とモデルYに対して低金利キャンペーンを実施中であり、12月31日までに納車可能な場合に限りゼロ金利を提供可能です。 また、テスラ独自の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、10月末現時点で累計125カ所、628基を建設。直近で六本木スーパーチャージャーが閉鎖されたことによって122カ所が稼働中です。 また、10月中に新たに稼働した遠州森町スーパーチャージャーは、最新のV4スーパーチャージャーであり、設置台数も12基と日本最大級です。とくに新東名沿いの経路充電スポットとして充電渋滞が頻発していた浜松スーパーチャージャーに代わる重要拠点として、テスラオーナーが重宝することは間違いないでしょう。 次に注目していきたいのがトヨタのEV販売動向です。トヨタは現在、bZ4X、レクサスUX300e、RZという3種類のBEVを発売するものの、10月は合計114台と前年同月比で-44.9%と需要が急速に減少している様子を確認可能です。販売内訳が発表されている最新の9月ではbZ4Xが76台、レクサスRZが42台、そしてUX300eが0台という状況です。 さらに、日産アリアは10月の販売内訳は現状不明ながら、9月は307台と販売規模が縮小しています。やはり大幅値上げによって販売のボリュームが低下していると考えられます。とはいうものの、アリアよりも安価に発売中のトヨタbZ4Xと比較すると、販売台数は4倍以上。レクサスRZと合算しても3倍ほど売れており、2024年末時点で、日本人はトヨタのEVではなく日産のEVを選んでいるといえそうです。 次に注目するべきは中国BYDの存在です。10月度で146台を発売したものの、9月が257台、2023年10月も137台だったことを踏まえると、やや失速している感は否めません。ドルフィンに対して限定グレードを設定し、とくに追加設定されたBaselineでは実質的な大幅値下げを行っていることからも、ドルフィンの売れ行きが芳しくないのではないかと推測可能です。2025年以降は新型EVを最低1車種以上投入する方針を示していることから、販売ディーラーの増加も合わせて、どれほど販売台数を伸ばすことができるのかに注目です。 最後に気になるのが韓国ヒョンデの存在です。10月単体で32台を売ったものの、前年同月比で-61.9%と落ち込んでいます。ヒョンデは2025年早々にもコンパクトEVのインスターを日本に導入する予定ですが、インスターはBYDドルフィン、日産サクラ、ホンダN-VAN e:とN-ONEのEVバージョンと競合になります。軽自動車ではないことで税制優遇を受けられず、BYDのようにディーラーもないとなると、日本にマッチするコンパクトカーながら苦しい戦いを強いられることになるかもしれません。 いずれにしても、日本国内の最新EVシフト動向は、前年同月比較でマイナス成長であり、EVシフト後退という状況が見て取れます。なかでも日本メーカーの普通車セグメントのEV販売動向が芳しくなく、2025年以降もEVシフトの低迷が続いていく可能性が高いです。 他方で、注目するべき動向として、テスラやBYDなどという輸入EVメーカーの販売台数増加に期待できます。テスラは2025年前半に投入予定のモデルYジュニパー、および2025年中盤に投入見込みの廉価モデル。BYDはミッドサイズSUVのSea Lion 7、およびさらなる新型EVに期待です。 また、2025年シーズンにはN-ONEのEVバージョンやスズキのe VITARA、およびトヨタから発売されるe VITARAの兄弟車などの登場も期待され、最新EVの販売動向に注目していきたいと思います。
高橋 優