「18歳頂点」学力から脱却、横浜創英の本気改革 工藤勇一校長退任も、学校の方向性は変わらず
学校改革を進めるために、最初に手をつけたのが教員の働き方改革
学校改革の本丸は学び方の改革です。しかし、改革を進めるには、教員のマインドを変えていく必要がありました。そのために、工藤氏が示す最上位の目的を教員全員に徹底することはもちろんのこと、まず工藤氏とともに取り組んだのが、教員の時間にゆとりをつくることでした。 具体的には、教員の完全週休2日制を徹底し、全員出勤日以外はシフト制に。土曜日は授業や部活があるため、午後の部活は勤務時間に組み込み、日曜に部活で出勤すれば、必ず代休を取ることとしました。勤務終了時間は16時30分。ひと月の残業が労基法に触れる45時間を超えないように、勤怠管理のシステムも導入しました。 また職員会議の無駄を洗い出し、伝達事項はすべて資料で共有し、新しい提案や話し合いが必要な案件だけを会議にかけることにしました。これによって毎月2時間かけていた職員会議が15分で終わるようになったのです。さらに、委員会や分掌も大幅に削減しました。 ちょうどコロナの緊急事態宣言下だったこともあり、授業のオンライン化が急速に定着し、それによって生まれた余白の時間の価値を教員自身が感じたということも後押ししたのでしょう。わずか1年で、働き方改革を進めることができたのです。 こうした改革の結果、今では18時には職員室に残っている教員はいません。しかも、働き方改革を進めたところ、いない職員のフォローをし合うなど、互いを支え合う穏やかな空気が自然と醸成されていったそうです。 世間では、教員の激務が問題となっていますが、本間氏自身も、それまでは職務に追われて、学校以外の世界を知る機会がなかなか持てなかったそうです。しかし、先生が社会とつながっていなかったら、生徒を社会とつなげることなど不可能です。 「自分自身も時間の余裕ができたことで、長い教員人生で初めて学校以外の世界の人たちともつながるようになり、世界が広がった」と本間氏。 学校が生徒の未来の希望を作る場所であるためには、教員も希望に満ちていなくてはなりません。組織的な働き方改革は、それ自体が目的ではなく教育改革を進めるための手段だと力説します。