<ロッテ今江が語る>CS出場に必要なもの
ロッテ・今江が語る
クライマックスシリーズ出場をかけた戦いが佳境を迎えている。 新聞には、連日、CS出場の条件についての星取り表が掲載されているが、考え過ぎてもよくわからないので、僕はできるだけ見ないようにしている。ここまでくれば、CS出場を争っている3チームの実力に差はない。技術も関係ない。目の前の1試合、1試合を勝つしかないのだ。 [写真・記事]ロッテ・今江「オレの野球人生は終わってしまう」
楽天優勝のテレビ番組は見なかった
楽天のマジック2で迎えた9月26日。 その日、我々ロッテが負け、楽天が勝てば楽天の優勝が決まるという状況だった。札幌での日ハム戦で我々は逆転負けして、一方の西武と戦っていた楽天は、逆転勝利。楽天の創設初となるパ・リーグ優勝が決まったが、楽天のことを意識する余裕はなかった。あくまでも個人的な気持ちだが、「一日でも優勝を先に伸ばしてやろう」という考えはなく、熾烈なCS争いの中、目の前の試合をひとつひとつ勝って、「出場権利を手にするんだ!」という思いしかなかった。もちろん優勝を逃した悔しさもあったが、その夜、楽天の優勝を報じるテレビ番組などは一切見なかった。 負けたら終わりというプレッシャーの中での戦いに、若い選手の多いロッテは慣れていない。緊張することでミスも出るだろう。では、この戦いを勝ち抜くためには何が必要か。僕は一人のミスをみんなでカバーし合ってチームがひとつになること。つまり一体感、まとまりというものを作るしかないと思っている。
過去2度、日本一を経験
幸いにして僕はチームがひとつになることを2度体験している。パ・リーグだけにプレーオフが導入されていた2005年(レギュラーシーズン2位からプレーオフを勝ち抜きリーグ優勝)、そして3位からCSを勝ち抜いた2010年と、2度成し遂げた“下克上日本一”のチームがそうだった。エラーが生まれれば、誰かがファインプレーで切り抜ける。ピッチャーが打たれれば、誰かが打って返す。プロ野球チームは個人事業主の集まりでもある。チームプレーであって、個人プレーの集合体という一面を持っている。正直、怪我でゲームの欠場を余儀なくされれば、「このままなら給料が下がるかも」などと、いらぬことを考えて、チームのことを考えられないときもある。他の人の活躍を素直に喜べないケースもある。 しかしチームにまとまりが生まれ始めると、他の人のヒットが、ファインプレーが、心から嬉しい。「ナイスピッチング!」、「よっしゃー!」と全員がベンチで声を出して、喜びを共有する。みんなの気持ちがひとつになるときにチームに一体感が生まれ勝利につながる。それが2005年と2010年に日本一になれた理由だった。