<ロッテ今江が語る>CS出場に必要なもの
岡田の気概がチームに伝播
だが、その一体感を作為的に作れるのか?と聞かれると答えに困る。難しい。それこそが、“勝利のためのチームマネジメント”かもしれないが、それがわかっていれば、苦労はしない。一体感を作る手段のひとつにチーム内の誰かがリーダーシップをとることがあるのだろう。しかし、僕はそういう役目が苦手だ。去年は、チームキャプテンに指名されたが、リーダーの仕事を意識しすぎて自分のプレーに影響が出た。どうも僕は、いろいろと他のことを考え気配りを始めると、自分のことに集中できなくなってしまう性格のようだ。リーダーは、結果を出してこそ、その発言に影響力を持つもの。その意味で僕はキャプテンという役目にふさわしくなかった。今季は、岡田が「自分がやります」とキャプテンを買って出てくれた。なかなかできる行動ではないし、その岡田の気概は全員に伝わった。
戦前の予想の多くは最下位だった
開幕前、ほとんどの評論家がロッテを最下位に予想していた。そういう逆境を跳ね返して優勝争いに参加、チームにまとまりが生まれているのは、伊東新監督のマネジメント力が大きいと感じている。これは、前回のTHE PAGEのコラムでも語ったが、全員にチャンスが与えられ、監督がベンチ内で選手に細やかな声をかけるので、モチベーションが高まり、一体感につながった。それでも、ここまで何度かズルズルとBクラスに低迷していまいそうな危機があった。そのひとつが楽天との首位対決での3連敗である。 敵地、Kスタ宮城での7月26日からの3連戦。特にショックだったのが、その初戦だ。日米通算2000本安打という偉大な記録に王手をかけていた井口さんが、1-1で迎えた6回、その記念すべきヒットを連勝記録を伸ばしていた先発の田中将大投手からの勝ち越しのホームランという形で決めた。9回裏まで2-1。大きな勝利を目前にして「やっぱり井口さんは持っている人だ」と考えていた。それがまさかの逆転サヨナラ負け……。田中投手の連勝を「13」で止めることもできず、そこから3タテを許した。最終日、バスに乗って仙台の宿泊ホテルに帰ると、すぐに監督から全選手に集合がかかった。緊急ミーティングが召集されたのだ。