阪神・井上が球児監督の“火の玉助言”で開眼 ランチ特打で柵越え6連発!「打席で動かない打者が強い」
「球児の金言」で大変身だ。阪神の高知安芸キャンプ第2クール4日目の10日、井上広大外野手(23)がランチ特打で66スイング中20本が柵越えと大当たり。藤川監督から「打席の中で動かされやすいから動かないように」と投手目線での助言をもらい、快音を連発させた。今キャンプでは一塁守備にも挑戦中ながら最大の武器はパンチ力。新監督の下で飛躍を目指す。 高々と舞い上がった白球が、左翼席の上の防球ネットに次々と飛び込んだ。日曜日のお昼時に圧巻の「柵越えショー」を演じたのは井上だ。66スイングで6連発を含む20本。独特のノーステップ打法でも、軸回転でしっかり振り抜いた打球は、飛距離抜群だった。 「監督が僕の打席を見た中でのアドバイスというか。(体が前に)出されたり詰まったりすることがあるので、それをなくすためにどこかで軸をしっかり持って。“動かない打者というのが強い”と言っていただいた」 野手の練習は見守ることに専念していた藤川監督が、ランチ特打後に約5分間、直接助言した。この日の朝に小谷野打撃チーフコーチを通して「投手がどう攻略しようとしているか」という投手目線から見た課題を伝達。成果がすぐに表れたのを確認した指揮官も納得の表情だった。 「朝、コーチと話して、見に行ったら、凄く打ち方が良くなっていた。僕が指導するわけじゃないので“投手から見てこういう形で来るんじゃないか”とか。監督としてというより、僕の野球選手のキャリアの部分で、いかにして彼らを抑えるかという術(すべ)の話。高いレベルになると思うんですが、今しか(できない)」 井上の課題は変化球などでタイミングを外されると、体の軸が前後左右にぶれてしまうこと。当然、投手側はそうさせようとする。井上本人も自覚はあるものの、名だたる強打者を抑え込んできた指揮官の言葉を改めて頭に叩き込んだ。 「投手出身の方なので。僕が(軸が)スエーするのを分かっていて、“シーズン中でも内角を見せられて、最後に外に来るでしょ”という話もしてもらった。その通りだな、と。打撃練習を見るだけでそこまで分かるんだなと感じた」 5年目の今季は自己最多23試合でプロ初本塁打を含む3発を放った。来季の1軍定着へ今キャンプでは一塁守備の練習にも励む。元超一流投手の「金言」を胸に、本番でもアーチ量産を目指す。 (山添 晴治) ○…小谷野打撃チーフコーチは、快音連発の井上に「彼のポテンシャルを最大限見せてほしいと言って、それを表現してくれた」と納得の様子だった。新任だけに手探りの面もあるが「振る力は、なかなかあのクラスはいない」と高評価。身ぶりを交えて指導した北川打撃コーチは「当たれば飛ぶ。それがスエーするとミスになる。(体の)左の壁をしっかり意識して軸で回るイメージを、とは言いました」と藤川監督の助言を補足した。