サウジ「大規模リゾート」建設で中国企業が存在感 太陽光発電所や蓄電システムなどを続々と受注
中東のサウジアラビア西北部の紅海沿岸に大規模な高級リゾート群を建設する「レッドシー・プロジェクト」。その建設現場で、中国企業が大きな存在感を示している。 【写真】現地の太陽光発電所に蓄電装置を設置するファーウェイ職員 「われわれの目標は、レッドシー・プロジェクトの(事業運営に必要な)電力供給を100%再生可能エネルギーで賄うことだ。そのための重要な役割を中国企業が果たしている」 プロジェクトの事業主体であるレッドシー・グローバル(RSG)のジョン・パガーノCEO(最高経営責任者)は12月4日、財新記者の独占取材に応じてそう述べた。
■電力供給は「100%再エネ」 RSGは、サウジアラビアのソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)が全額出資する不動産開発会社だ。レッドシー・プロジェクトは複数の高級リゾートを核に、住宅、ライフライン、交通インフラなどの建設を同時に進めるもので、サウジアラビア政府が2016年に策定した(石油依存経済からの脱却を目指す)経済改革計画「ビジョン2030」の重点項目の1つに位置づけられている。 同プロジェクトでは、総面積2万8000平方キロメートルに及ぶ開発エリアの電力供給を、将来的にすべて再生可能エネルギーで賄う計画だ。それを実現するため、パガーノCEOは「すでに12社の中国企業と総額44億リヤル(約1757億円)の契約を結んだ」と明らかにした。
レッドシー・プロジェクトのような大規模インフラの建設を、中国企業がサウジアラビアで手がけるのはこれが初めてだ。RSGから請け負った分野は太陽光発電所、蓄電システム、送電網、海水淡水化プラント、上水道、排水処理プラントなど多岐にわたる。 「現地の太陽光発電所には中国製の太陽光パネル76万枚を設置し、蓄電システムの設備容量は1300GWh(ギガワット時)に上る。これまでに完成した(ホテルなどの)施設は太陽光発電だけで運営が可能で、既存の電力網から完全に独立している」(パガーノCEO)。