50代女性「非正規公務員」です。業務量は常勤職員と変わりませんが勤務時間が「15分」短くなりましたが、老後に影響はありますか?
安定した職業とされている公務員。しかし近年、地方自治体では非正規職員が増加しています。扶養内を意識するなどして、あえて非正規雇用を選択している方も多くいるでしょう。 では、非正規雇用のまま老後を迎えるとして、年金などにどのような影響があるのでしょうか? FPが解説します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
非正規公務員とは
自治体が人件費の支出を抑えるため、非正規職員の採用を増やしています。 総務省が行った令和5年度 会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査結果によると、2023年度の地方公務員の臨時・非常勤職員(以下非正規公務員という)の任用件数は、74万2 725人となり、2005年の調査開始以来、増え続けています。前回の調査(2020年度)(注1)と比べても4万8252人(6.9%)増えました(※1) 一方の正規公務員は、2023年4月1日現在で、280万1596人で、1994年をピークとして2016年まで一貫して減少し、その後は、横ばいから微増傾向です。2022年度比では、2068人の減少となりました(※2)いまや地方公務員の5人に1人は、非正規公務員ということになります。 総務省が発表している地方公務員数の状況によると、非正規公務員は、会計年度任用職員と臨時的任用職員と特別職非常勤職員からなっており(注2)、そのうち会計年度任用職員が、89.1%を占めています。 会計年度任用職員とは、地方公務員法の改正により2020年度から制度化された比較的新しい職で、1会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)を最長の任期として任用され、主に常勤職員が行う各種業務の補助を行う非常勤の地方公務員とされています(注2)。 フルタイムで働いているのは7万4949人で全体の11.9%で、残りの88.8%(58万7952人)は、パートタイムになります。もちろん、自ら希望してパートタイムで働く人も多くいます。 一方で、業務量は常勤職員とほぼ変わらないのに、自治体が退職手当の支給を避けようと勤務時間を少しだけ短く設定して、パートタイムとして扱うようなケースも存在します。 翌年度も職が存在し、職場との関係が良好な場合は、公募によらず再度任用となる場合など複数回更新している人もいますが、年度末の3月にならないと更新されるかどうかわからないので、不安定な立場に置かれています。 例えば、10年間真面目に働いて職場に認められていた人でも職がなくなり、雇止めになる可能性があります。また、非正規公務員は、職責や仕事量に比べて賃金が低い傾向にあります。 2023年の調査結果では、任用団体数がもっとも多い「事務補助職員」については、1時間あたりの給料(報酬)の額が「900円超1000円以下」の区分に属する団体が多く、団体ごとに単純平均した平均額は、「1059円」となっています(※1)。 注1: 地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査は、3年に1度行われています。 注2: 任用期間が6ヶ月以上かつ1週間当たりの勤務時間が19時間25分(常勤職員の半分)以上の職員を対象としているので、雇用期間が6ヶ月未満などの短期の非正規職員は、数に入っていません。