2年目のジンクスという壁を越えなければならない。 「不安はある。始まってみないとどうなるかわからないのがプロ野球。でも去年は、しっかりと準備してやれたこともあった。準備して序盤から中盤を意識してやれば大丈夫だと思う。不安もあるが楽しみもある」 　牧も「不安」という2文字を口にした。 　2年目のジンクスに苦しむ理由は、対戦相手による研究とコンディション不良などとされる。どうしても打撃へ目が向きがちになるところで牧は守備力をテーマにした。「守備力の向上に目をつけたことが素晴らしい」との専門家の声がある。 　巨人OBで、元ヤクルト、西武監督の広岡達朗氏は、「基本の反復練習がすべて。そして徹底した守備練習がバッティングにもつながる下半身を作る」というプロの原則をいつも口にしている。 　牧の目の付け方は、やはり並みのルーキーではない。しかも、チームには球界屈指の守備の達人がいるのだ。他球団との“越境自主トレ”が盛んだが、牧の弟子入り先も的を射ていた。 　ある元タイトルホルダーは、「そもそも逆方向の打球が打てる牧のバッティングスタイルは、2年目のジンクスにあてはまるタイプじゃない。どちらかというとホームランバッターが危ないが、彼にホームランを狙っていないという意識があるのであれば不安は消える。しかも大和に弟子入りして自主トレに守備から入るという心構えがあるのなら、その時点で、もう2年目のジンクスへの不安は解消したと見ていいんじゃないか」と評価した。 　今季の目標を聞かれて、大和、牧の2人は奇しくも同じことを言った。 「去年は最下位で悔しい思いをした。リーグ優勝、日本一を目指したい」 　牧の個人目標もチームの勝利に直結するものが最優先となる。 「去年の数字を1つでも1本でも上へいけるように毎年、塗り替えていければいいですね。打率3割は、ずっと打ち続けたいが、打点にこだわっている。100打点はいきたい。22本塁打は出来過ぎでしょう。首位打者？　バッターでいる以上、どの選手も目指している数字。狙えるなら狙っていきたいが意識したら打てなくなってくる。打率よりチームのために頑張りたい」 　3割・100打点がクリアしたい数字なのだろう。 　同じ大卒で同期のライバルである阪神の佐藤輝明は「100発。10度お立ち台」を新年の抱負に掲げた。それを聞いた牧は、「佐藤が乗ってきたら打つんじゃないですか」と笑ってリップサービスをして「僕はホームランバッターじゃない。でも負けられない」とライバル心をチラつかせた。 「お立ち台？勝ちたいので10回、もしくは11回」 　また4番という打順については、「正直、あまりこだわりはない。監督さんが、その打順にしてくれたのであればチームのためにやっていきたい。4番を打つとなると、軸になる打順。勝つための一打が　必要になってくる」との持論を展開した。 　牧は22日で大和との合同自主トレを打ち上げて2月1日の沖縄キャンプへ向けて準備に入る予定。牧が最下位からの逆襲を狙う横浜DeNAの今季のキーマンとなりそうだ。 （文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社）