福袋とは大人になるための通過儀礼である…年始早々デパートの行列に並んで1万円を使った私が得た真理
■揺れ動く心もよう ( )内は推定の定価である。 ○婦人物タートルセーター(5000円) ○婦人物ジャカードセーター(4000円) ○ダンヒルハンカチセット(2000円) ○座ぶとん(1200円) ○目録〈サンジェルマンのクッキー詰め合わせ〉(2000円) ○目録〈スツール〉(推定不能)以上6点(1万4200円+α)。 さて、こんなもんである。せいぜい甘く見積もっても2万円。2倍だから文句は言えないが、文句たらたら。しかし、これこそ「福袋」の奥義ではないか。 「もしかしたら大もうけかも」→「やっぱり損した」→「ちっきしょう」→「でも自業自得ね」→「ま、正月だからいっかあ」。この揺れ動く心もようが、人をまたひとつ大人にするのである。 風の噂では、大当りはあったらしい。たぶん徹夜も辞さず前の方に並んでいた人に当ったはずだ(客に福袋を選ぶ権利はなく、順番に手渡されるのを受け取らなければいけない)。 しかし、正月の東急本店はすごいな。店内いたるところ福袋だらけ。アクセサリー売り場だけでも、各ブランドごとに出してるから10種以上の福袋がある。全館合わせたら百種類ぐらいあると思う。 というわけで、私はまた福袋を買わない人生に戻る。来年から。
消しゴム版画家・コラムニスト ナンシー関