俳優・鈴木福さんが考える選挙「動かないと変化は起きない」アメリカで見た政治の近さ
「政治が変わる」イメージが湧かない世代という面もあるかもしれません。テレビドラマ「マルモのおきて」が放映されたのは、2011年の東日本大震災の直後でしたが、撮影当時のことは少ししか覚えていません。なので、5歳だった2009年の政権交代はほとんど記憶にないです。 投票して何か変わったり、自分に返ってくるものが見えたり、本当に投票したいと思わせてくれる候補者が出てきたり……。そういうことがない限り、投票しようという気になるのは難しいんじゃないかなと思います。 今年8月、テレビの取材で米ロサンゼルスに行き、ドジャースの大谷翔平選手が「40-40(40本塁打40盗塁)」を達成したのを目の前で見ました。空港では、大統領候補のハリスさんのチョコレートバーや、トランプさんの首振り人形が売られていました。そういう盛り上がりは、日本の選挙にはないから面白い。二大政党制だからというのもあるのかな。選挙が生活に根付いているんだな、生活に関わってくると感じられているんだなと思いました。 僕は自分の周りで「総理大臣や政治家になりたい」と言う人に会ったことがないので、そういう人が出てくる国であったらなとよく思います。政治家が、小さい子に憧れられるような職業であってほしいです。 被選挙権年齢も引き下げたら良いと思います。若者が政治に関心を持ち、投票をしようと思うには、自分たちに近い世代が出馬し、応援したいと思える状況が必要ではないかと考えています。 「子どもが増えたらいいな」「この国で長く暮らしたいな」と思う人が増えない限り、国は発展しないと思います。みんなが「将来どうなるんだろう」と不安に感じたり、夢を持ちにくかったりする社会は絶対に良くない。小さい子たちが夢を持って生きていけるような世界になってほしいですよね。 若い世代が増えなければ、有権者が多い高齢者向けの政策が行われるシルバー民主主義になる可能性は否めません。僕たちの世代にとっての10年後20年後と、上の世代では違います。日本は停滞していて、上向く感じはしないですね。今のままでは明るい未来が見えている人の方が少ないと思うので、どう変化するのか興味があります。 投票に行かないよりは行った方がいいと思うし、動かないと変化は起きない。投票は権利ですし、それを使わないのはもったいないと思います。