【毎日書評】人のやる気を促し、動かす技術「アクノレッジ」とは?
本気のあいさつ
企業を訪問したり、お店に買い物に行くと、あいさつには2種類あることがわかると著者はいいます。ひとつは自ら進んで行う「自分のウィル(意志)」でしているあいさつ。そしてもうひとつは、やらされている感が透けて見える「他人のウィル」でしているあいさつ。 当然ながら前者を聞いたときには、アクノレッジされたとの思いが高まることになるでしょう。そのため瞬間的に、距離が縮まるのを感じることができるわけです。 一方、後者の場合は、ただ「音」が聞こえたという印象にとどまってしまうはず。そのため、それによって関係が変化を起こすことはありません。 もちろんそれは、部下との関係においても重要なポイント。自分の日常を振り返ってみたとき、部下にウィルを込めたあいさつをしていると断言できるでしょうか? もしもそうでないのなら、「本気のあいさつ」を心がけるべきなのです。そうすれば、気持ちは必ず伝わるはずだから。 一度でも良いですから「本気」であいさつしてみてください。まず、鏡の前で何回も何回もその「本気」を練習してみましょう。 そして朝、部下に会ったときには、しっかりとした、それでいて穏やかな眼差しを向けながら、少し声を低く落として伝えます。 「おはよう」と。それまでのすべてのわだかまりを帳消しにして、新しい関係の始まりを予感させる「おはよう」を伝えるのです。(118ページより) とはいえ、決して見返りを期待しないこと。相手がどのような反応を示そうと、こちらは「本気」で挨拶する。その姿勢が大切だということです。 それを続けていれば、最初は無反応だったり戸惑ったりしていた部下も、いつかはあいさつを返してくるようになるかもしれません。もちろん「期待するべからず」が大前提ですが、そうした習慣が、いつかアクノレッジメントとして機能してくれるであろうことは間違いなさそうです。(115ページより) 2009年に刊行された『コーチングのプロが教える「ほめる」技術』(日本実業出版社)を改訂し、新章を加えた新版。長きにわたって愛読されてきた同書に、現代に即した項目を加えているわけです。そのため、部下や仕事上で関わりを持つ人にエネルギーを供給するためのエッセンスを確実に吸収できることでしょう。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン
印南敦史