【毎日書評】人のやる気を促し、動かす技術「アクノレッジ」とは?
修飾せずに観察を伝える
著者は企業で管理職に向けてコーチングの研修を行なっているとき、「ほめるのが大事なのはわかっているけど、そう簡単にほめるところも見つからないんですよ。どうしたらいいんでしょうか?」と聞かれることがあるのだそうです。 いうまでもなく「ほめる」とは基本的に、成果や結果に対して承認のことばをかけること。つまり、それはまさにアクノレッジメントであるわけです。 とはいえ、ほめることが唯一のアクノレッジメントになってしまうのだとしたら、それはなかなかきついかもしれません。なぜなら、つねに目に見える成果が出るとは限らないからです。 しかも部下の立場からすれば、「こんなに努力しているのに、そのことは認めてもらえないのか」と感じざるを得ないことだってあるはず。努力のプロセスを見てもらえずに、「なにもしていないだろう」といった扱われ方をされたとしたら、カチンときても無理はありません。 だからこそ頻繁に伝えましょう。「今こうしてるね」と。ほめてはいないけれども、君がそこに向かって行動していることは知っている。それは価値のあることだ。その方向性で良いんだ、ということをリマインドしてあげる必要があります。(107ページより) たとえば営業マンであれば、「今週は新規3件訪問したんだってな」と伝える。技術開発の人であれば、「プログラムは第IIIフェイズまで書けたんだな。もう少しだな」と寄り添ってみるなど。 他にも汎用的に使えるものとして、「新しいネクタイだね」というような声がけをすることもできるでしょう。歯が浮くようなことをいう必要はなく、見たまま、聞いたままを口にすればそれでいいわけです。 とにかく観察です。部下を見ることです。見ていないと何も言えません。 今日部下がどんなネクタイをしていたか覚えていますか。どんな靴をはいていたか知っていますか。髪型がぱっと思い浮かびますか。部下が話をするときに好んで使う表現を知っていますか。(108~109ページより) もちろん職場だけではなくパートナーなどにもあてはまることでしょうが、いずれにしても観察し、思いを伝えることは有効なアクノレッジメントであるということです。(106ページより)