仏大統領選はマクロン×ルペンで決選投票 ひとまず胸なで下ろすEU・ドイツ
決選投票ではマクロン優勢との報道も
フランスの市場調査会社イプソスは、マクロンとルペンの両候補に当確マークが出た直後に、決選投票で有権者はどちらの候補に投票するのかを事前予測した。それによると、現時点で62パーセントの有権者がマクロン候補に投票し、38パーセントがルペン候補に投票する可能性が高いのだという。シンクタンクやメディアからも、決選投票がルペンとマクロンの2人によって行われる場合、中道左派と中道右派の両方から支持を得やすいマクロンがルペンに圧倒的な差を付けて勝利するだろうとの予測が相次いで出ている。しかし、世論調査の数字が全てを予測することができないのは、昨年の米大統領選挙や英国の国民投票が示している。米大統領選前の世論調査では、いわゆる「激戦州」で民主党のクリントン候補が平均2ポイントリードしていた。 フランスではこれまで、中道左派と中道右派が交代を繰り返すような形で、大統領を輩出してきた。右派左派関係なく、極端な立ち位置にいる政治家や政党は多くの支持を得られないというのが定説だ。前述した2002年の大統領選では、ジャン=マリー・ルペン氏が決選投票に進んだものの、2期目を狙うシラク氏に5倍以上の差を付けられて大敗している。6年前に「国民戦線」の新党首となった娘のマリーヌは、排外的な党のイメージを変えることに努めてきたが、中道系の支持者が多いフランスにおいて有権者の過半数から支持を得るのは非常に困難だとみられる。すでに決選投票に進めなかった共和党のフィヨン候補や社会党のアモン候補は、決選投票でマクロン氏に投票するよう支持者に訴えている。 加えて、6月中旬にはフランス国民議会選挙が行われる。そこで国民戦線が大躍進し、大幅に議席を増やさない限りは「ルペン大統領」が誕生したとしても、議会と歩調を合わせることは難しい。社会党出身で「左派でもなく右派でもない、新しい中道を目指す」と語るマクロン候補が大統領に選ばれた場合、連立を含むその後の政権運営も比較的円滑に行われる見通しが強い。