アルツハイマー病を血液検査で判定、精度90%、医師の見立てより正確で「非常に有望」
痛みや被ばくを伴う検査の代わりとなるか、ただし症状のない人には推奨されない、研究
科学者たちは長年、血液検査によってアルツハイマー病の証拠を見つける方法の開発に取り組んできた。このほど、平均的な医師の診断より精度が高い新手法についての論文が、7月28日付けで医学誌「Journal of the Medical American Association(JAMA)」に掲載され、米国フィラデルフィアで開催された国際アルツハイマー病学会(AAIC)でも発表された。この方法は今のところ、発症前の検査として使うことは推奨されていないが、発症後の検査が受けやすくなる可能性はある。 判定画像:老化の度合いはやはり顔に表れる アルツハイマー病であることを証明するには、現在のところ、体に大きな負担のかかる検査が必要で、費用も高い。しかし、簡単な血液検査でより早く、簡単に診断できる日が来るかもしれない。 「この研究結果は驚くべきものであり、非常に有望です」とオランダ、アムステルダム大学医療センターの神経化学者インゲ・フェルベルク氏は話す。 「プライマリケア(身近で何でも相談できる総合医療)で血液検査を受けられるようになれば、診断の遅れが少なくなり、治療を早く始められるかもしれません。また、より効果的な診断ができれば、神経科を受診するまでの待ち時間も短くできるかもしれません」
アルツハイマー病はどのように診断されている?
アルツハイマー病だと突き止めるには、患者の脳への蓄積が典型的に見られる2つのタンパク質を調べる必要がある。沈着物(プラーク)となって固まる「アミロイドベータタンパク質」と、絡まり合ってもつれる「タウタンパク質」だ。 どちらも認知症のリスクと関連づけられている。21世紀に入るころ、これらのタンパク質は、患者の脳を死後に解剖することでしか確認できなかった。 2000年代半ばになると、中枢神経系を流れる脳脊髄液を採取し、これらのタンパク質を検出する手法が開発された。ただし、脳脊髄液を取るには腰の骨に針を刺すことになるため、痛みを伴い、リスクもゼロではない。 現在、これらのタンパク質は脳の画像診断(PET検査)でも検出できるようになった。しかし、血液中に放射性物質を注入する必要があり、高価な装置も必要だ。そのため、代わりとなるより優れた診断方法が切実に求められている。