F1分析|フェルスタッペンがレッドブルを離れたら……獲得競争に勝つのはメルセデスじゃなくてアストンマーティン?
最有力候補はアストンマーティン?
アロンソが離脱してシートが空けば、アストンマーティンへの移籍はもっと簡単な話だろう。 アロンソはまず2025年まで現役を続けるかどうかを決めなければならず、その後にどのような選択肢があるかを検討することになると示唆している。 アロンソもメルセデスに移籍するドライバー候補に挙がっているが、微妙に違うのはアロンソが1年契約を受け入れる可能性があるということだ。 フェルスタッペンがメルセデスとの1年契約(おそらく2年目のオプションはあるだろうが)を受け入れるはずがないだろう。 「チームのためにも、彼らが選択肢をオープンにしておくためにも、あまり判断を遅らせないようにするのが僕にとってフェアなことだ」と、アロンソは語っている。 アストンマーティンにとって、フェルスタッペンの獲得は第一選択肢となるだろう。チームオーナーのローレンス・ストロールは、ベッテルやアロンソを獲得したときのように、できることは何でもするだろう。 フェルスタッペンはアストンマーティンにとって、常勝チームを目指すうえで最後のピースとなるだろう。フェルスタッペンを引き抜くことで、今のF1を支配しているレッドブルのポテンシャルを下げることにもつながる。 アロンソが離脱すると仮定した場合、状況はメルセデスよりもはるかに明確だ。フェルスタッペンが望めばシートは用意される。若手を昇格させるというプレッシャーはない。チームメイトとなるランス・ストロールの立場も同様に揺るがないだろう。フェルスタッペンも、移籍を選べばどんな状況になるか分かっているはずだ。 フェルスタッペンにとって重要なのは、手に入れられる中で最も競争力のあるパッケージを手にすることだ。アストンマーティンは積極的な投資を行なっており、風洞を備えた真新しい施設があり、強力なテクニカルチームがある。2026年に非常に魅力的なチームになることを指し示す勢いがある。 アストンマーティンが2026年からホンダのワークスPUを手にすることも大きな要素だ。もはやメルセデスのカスタマーとして、ギヤボックスやサスペンションパーツの供給を受ける必要はなくなる。 フェルスタッペンほどホンダを理解し、リスペクトしているドライバーはいないだろう。そして、おそらく彼はホンダが新時代に向けて現在の調子を維持していくことを確信しているはずだ。 最近、ボブ・ベルがアストンマーティンのエグゼクティブ・ディレクターに就任することが発表されたばかりだが、ローレンス・ストロールがそのような人材を増やし続けているという事実は、彼がどれほど本気であるかを示している。 フェルスタッペン(そして彼の父ヨス)もまた、右腕のマーティン・ウィットマーシュとチーム代表のマイク・クラックから情報を得て、ローレンス・ストロールが大きな決断を下すという、アストンマーティンのシンプルな意思決定プロセスを高く評価するだろう。 陰謀や政治が何重にも張り巡らされているわけでもなく、レースチームの上層部に会社の役員会があるわけでもない。 メルセデスでは多くのマーケティング活動やスポンサーへの挨拶などに時間を取られるだろう。一方でアストンマーティンでは、ストロールが最低限の仕事しかしないで済むよう働きかけるはずだ。 シーズン24戦が予定されているため、すべてのドライバーにとって自由な時間を持つことは重要であり、特にフェルスタッペンのように子供の頃からカートに打ち込んできたドライバーにとってはなおさらだ。 結局のところ、どんなトップドライバーも最高のマシンを手に入れたいと願うものであり、最高のドライバーは、レースで勝てるかどうかの瀬戸際にあるマシンをタイトル争いに持ち込めるような違いを、自分なら生み出せると自信を持っている。 メルセデスであれアストンマーティンであれ、そして2025年であれ2026年であれ、フェルスタッペンのビッグニュース(早ければ数週間後)を覚悟しなければならないかもしれない。 フェルスタッペン自身は複雑なメッセージを発し続けており、現状に満足していると主張する一方で、どんなことでも起こり得るというヒントを投げかけている。 「ルイスがフェラーリに移籍するなんて、誰も想像もしなかっただろうね」 そうフェルスタッペンは語る。 「F1とかそういうこととは関係なく、一般的な人生では何が起こるか、何が自分に訪れるか、何が自分の周りで起こるか、何が自分に影響を与えるか、わからないものなんだ」 「だから、100%こうなるとは言い切れない。僕はそうやって自分の人生に取り組んでいる。でも、あまり深く考えることもない。とてもリラックスしているよ」
Adam Cooper