中国の飲料大手「ワハハ」、創業者の娘が正式にトップに就任
今年2月に亡くなった中国の飲料メーカー大手「杭州娃哈哈(ワハハ)集団」の会長の宗慶後(ゾン・チンホウ)の1人娘の宗馥莉(ゾン・フーリー)が、同社の経営を正式に引き継いだことが、登記システムのデータで判明した。 中国の企業情報サイトの企査査(Qichacha)によると、ケリーという英語名を持つ彼女は現在、ワハハの会長でCEOを務めており、非上場企業である同社の大株主となっている。1987年に浙江省杭州市でワハハを創業した彼女の父のゾン・チンホウは、2010年に保有資産80億ドルで中国一の富豪となり、2012年にも100億ドル(約1兆5000億円)の資産で再びトップに返り咲いていた。 その娘のゾン・フーリーは、米国のペパーダイン大学を卒業し、2004年にワハハに入社してマーケティングと広報部門を率い、2021年に副会長に就任した。しかし、後継者である彼女の会社のトップへの道は、課題に直面した。 2月の父の死から数カ月後、フーリーが書いた「全従業員へのメッセージ」という手紙がSNS上に流出した。報道によると、一部の株主が彼女のトップへの就任を疑問視したことを受け、フーリーはトップの辞任を申し出たという。しかし、7月下旬にワハハは、ウェブサイトに掲載した声明で、株主との「友好的な話し合い」の結果、フーリーが引き続き経営を担うことを発表した。 彼女が今直面する課題は、2013年のピーク時の売上高が780億元(約1兆6000億円)に達していたワハハの業績を復活させることだ。同社の売上高は、競争の激化や消費者の嗜好の変化によって、2022年に512億元にまで落ち込んだ。 アナリストによるとワハハは、これまで地方都市に集中していた流通ネットワークを刷新し、エナジードリンクや茶系の飲料などで若年層や健康志向の消費者を引き付けようとしている。ロンドンを拠点とする市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルのアナリストのハリー・ハンによれば、ワハハの取り組みは進展を遂げており、2023年には「健全な成長」を見せたという。 「ワハハは、新たな消費者の開拓や信頼構築の道を進んでいる。リアル店舗での売り場面積の拡大と新たなマーケティング戦略によって、会社のポジションをより強固にすることが期待できる」と彼は述べている。
Yue Wang