センバツ高校野球 大垣日大、先制で流れ エース五島、18K完投 /岐阜
第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第4日の22日、県勢の大垣日大は、21世紀枠で出場した只見(福島)を6―1で降した。雨で試合開始時刻が記録の残る第50回大会以降で最も遅く、ナイターになった異例の初戦に、選手だけでなくスタンドの保護者や生徒たちも沸き上がった。2回戦は第8日の26日、第1試合(午前9時開始予定)で星稜(石川)と対戦する。【熊谷佐和子、平本絢子、中田博維、長屋美乃里、黒詰拓也】 雨の影響で時間が大幅に遅れ、球場の照明がともる中で午後6時26分に始まった試合は、大垣日大が攻守ともにリードし、主導権を渡さなかった。打っては毎回走者を出して二、五、七、九回に得点を挙げ、守っては先発左腕の五島幹士(3年)が緩急のある投球で相手に的を絞らせず、18三振を奪って完投した。 鮮やかなピンクのウインドブレーカーとメガホンで彩られたアルプスからの声援を受けた大垣日大は二回表、四球で出た五島が二盗を決め、高橋慎(2年)が還して先制。さらに袴田好彦(2年)がしぶとく右前に落として1点を加えた。 四回裏には五島が四球で初めての走者を許し、右前に適時打を浴びて1点を奪われたものの、直後の攻撃で四球を選んだ河村岳竜(3年)を米津煌太(2年)が左越え二塁打で還して3―1に。流れを引き渡さないまま2点リードで試合を折り返した。 七回表、先頭の河村が左越えに二塁打を放って出塁すると、山田渓太(2年)が送って1死三塁。米津が四球を選んだ後、主将の西脇昂暉(3年)がしっかりと犠飛を放ち、1点を追加した。九回表には四球などでためた走者を米津の犠飛と西脇の適時打で還して6―1に突き放した。 阪口慶三監督が「肩の力が抜けていた」と語るように、五島は一回から落ち着いた表情でマウンドに立ち、130キロ台の直球と100キロ台の変化球を投げ分け、毎回三振を奪う好投。四、七回以外は得点圏に走者を許さなかった。 ◇大舞台で応援満喫 ○…大垣日大の三塁側スタンドでは、保護者や生徒、教員の計約920人が観戦した。新型コロナウイルス感染防止のため、大声での応援は制限されたが、3年ぶりにブラスバンドの生演奏が解禁された。吹奏楽部員とOB計約40人が、同校オリジナル曲「OGAKI」などを披露した=写真<上>。 「初めての球場応援で緊張している」。部長でホルンを担当する下司桃香さん(17)は試合序盤、つぶやいた。徐々に慣れてくると「甲子園は思ったより大きく、室内と音の響き方も違い、楽しい」と大舞台での演奏を満喫していた。 応援団12人も学ランとハチマキ姿で応援。応援団長の川合紗矢さん(17)は「私たちがグラウンドに一番近い位置にいる」と力を込める。 二回表に先制すると、チアリーディング同好会19人も、ポンポンを両手に掲げてスタンドを盛り上げた=写真<下>。部長の遠藤梨乃さん(17)は「初得点は言葉に表せないくらい感激した。私たちもこれまでの成果を出して、選手のパワーになりたい」と話した。 ◇メガホン鳴らして ○…二回表、高橋慎三塁手(2年)の右方向への適時打で1点を先制すると、保護者たちは両手に持ったメガホンを打ち鳴らして喜びを表現した。松山市から応援に駆けつけた母親の典子さん(52)は「チームのために打って点数を入れられてうれしい」。 続けて2点目となる適時打を放った袴田好彦二塁手(2年)の父・克彦さん(50)は、自身も、当時阪口慶三監督が率いていた東邦(愛知)のマネジャーとして甲子園での優勝経験がある。「こんなうれしいことはない」と感激した様子で応援していた。 三回に3者連続三振を奪うなど上々の立ち上がりを見せた先発の五島幹士投手(3年)。7歳上の兄や父親の敬三さん(53)も野球経験者だが、甲子園に出るのは家族で五島投手が初めて。敬三さんは「応援するのは新鮮な感じ。緊張している様子も見受けられない」と見守っていた。