高市氏の「電波停止」発言に対する抗議会見(全文3・質疑応答1)
権力の暴走を許さないのがジャーナリズムの役割
岸井:新聞は新聞労連ありますからね。新聞労連は新聞労連として高市氏発言を非常に懸念して、それなりの声明を出してますけども。それともう1つあえて申し上げたいのは、私非常に気になってるのは新聞が社説で、いくつかの新聞ははっきりと弾劾してます。何を考えてるんだと、この大臣は、というね。だけど、まったく触れてない新聞もあるんですね、社説で。これはもう新聞が当然社説で真っ向から取り上げるべき問題だと私は思ってますけども、その辺をこれから新聞がちゃんと足並みそろえられるかどうかっていうところがね、非常にポイントになってくるんじゃないかなと思いますね。 それとね、非常にこれも、皆さんもそう思うかもしれませんけどね、自民党の申し入れもそうですけど、公平、公正って言葉にみんなだまされちゃうんですよね。公平、公正っていうのは当たり前じゃないかと。そうすることが当たり前じゃないか、それが正しいんじゃないかってみんな思っちゃう。でも政治的公平、公正っていうのは一般的の公平、公正とまったく違うんですよね。よく言われるように、私もテレビでもコメントするとき使うことがありますけど、権力っていうのは絶対的権力であり、権力が強くなればなるほど必ず腐敗し、時に暴走するんです。必ずです。これはもう、政治の鉄則なんです。それをさせてはならないっていうのがジャーナリズムの役割なんですよね。 必ずチェックし、ブレーキをかけ、そして止めるというのが、これがジャーナリズムの公平、公正なんです。それを忘れたジャーナリズムはジャーナリズムじゃないんですよ。それをどうもみんなね、その、公平、公正っていう言葉をね、ごまかそうとするんですね。それにだまされやすい。これだけはもう、本当に気を付けなきゃいけないっていうように思いますね。政治的公平、公正っていうのは一般的公平、公正とまったく違いますからね。権力の暴走を止めなきゃいけないのが公平、公正ですからね。そこを間違えてはいけない。そこが新聞もそう。なんであれを問題を取り上げない新聞があるのかなって、私は今、ものすごく今、疑問に思ってます、そこは。 鳥越:これはね、実は政治権力とメディアの戦争なんですね。戦いです。歴史的にも、今も。で、今、現実はどういうことかというと、政治権力側が一方的に攻勢を強めて、メディア側がどんどん後退をしている。そういう時代です。これまでの、歴代安倍政権以前の自民党の政権ももちろんわれわれはずっと見てきましたけれども、ここまで露骨にメディアにチェックを入れ、そしてメディアを牽制してきた政権はありません、自民党といえども。部分的にはあったかもしれませんが、こういうふうに全面的にメディアに総攻撃をかけてくる政権はありません。 で、組合ということを今、IWJの方はおっしゃいましたけど組合は、連合の最近の実態を見てもそうですけど政治的には全然駄目です。政治闘争できない。かつての総評とは違う。組合が今ね、どこの会社でもどこの世界でも、組合が経済闘争はやるかもしれないけれども、じゃあその内容に、仕事の内容にまで関わって組合が関与するかというと、そういうことはどこの組合でもほとんどないです。まして、民放労連という固まりになれば言うけれども、1つ1つのテレビ局の中の組合がなんらかの、例えば高市発言とか、それからなんかの具体的な問題で声を上げるということはありません。 それは、そういうふうになってしまったという現実があるわけですけれども、最終的にはやっぱり現場の1人1人の働く、メディアで働いている人たちがちゃんと意見を言い、声を上げて例えば、ディレクターがプロデューサーに、プロデューサーがその上の報道局長にというふうに1つの、1人1人が自分たちの意見を上げるような状況には残念ながら、今のテレビ局はどこもおそらく、なってないんです。 上からの皆さんもご存じのように、安倍政権はちゃんとした戦略、メディア戦略を持ってます。安倍晋三総理大臣が新聞のあの首相動静録とか、日々なんとかという小さいあれがある。あれを見たら分かるように、どれだけ頻繁にメディアのテレビ局の社長、会長、新聞者の社長、会長と食事をしてるか知ってますか。頻繁にやってますよ。なんであんなにメディアの社長、会長と総理大臣が飯を食わないかんのですか。当然そこではなんらかの形でね、政権側から総理大臣側から、ちょっとあの記事はどうだとか、あの番組はどうだとかいう、これはもうまったくの私の想像にしか過ぎませんけど、言われているかもしれない。 そうすると社長、会長は戻ってきて下にちょっと、あれはどうかね、というようなことを、じわじわとこうテレビ局の中で空気が醸成されてきて、それが現場に伝わってきて、現場では先ほど匿名の読み上げありましたけど、あの中で言われているようにちょっとこれまずいんじゃないかと。これは言い過ぎかもしれない。この人は出せないかもしれないというような自粛、萎縮ムードが全面的に、どのテレビ局にも広がってる、NHKも含めて。というのが現実だと僕は思うんですね。 これは戦いですから。だから今はちょっと土俵際まで押し込まれてます。しかし、われわれは黙っていてただズルズルと土俵の外に追い出される、押し出されてしまうんではなくて、やっぱりテレビ局の中にも多くの、これでは困ったなと、先ほど読み上げましたようにこれでは困るというふうに思っている人たちがたくさんいるに違いない。だから、残念ながら分断されてます。1人1人は思ってるけどお互いに手をつないでないから、自分1人だけだと思う。それをこれからは多くの人が少しでも手をつないで、物を言って、テレビ局の人、自分のテレビ局の中で少しでも現場の空気感を変えていく。現場からそしてさらにその上、最終的には社長という形で現場から、現場の人間が一番発言をしない限り変わりません。上から変わるということはありませんから、下から変えていくしかない。そう思います。 そういうところに、相当ひどいところまでいくと思いますが、そのまま押し切ってしまわれるということは僕はないと思っています。やっぱりどこかで反転攻勢がきっと出てくるに違いないと、僕は楽観的に思ってます。ぜひ皆さんも、ここにいらっしゃる方も同じ僕らの仲間だから、ぜひ黙っているんではなくて、ここで言わなきゃいけないというときには発言をして、声を上げましょう。以上です。 岸井:はい、今の鳥越さんの話にもう1つ付け加えますとね、私非常に最近勇気付けられるっていうのかな。やっぱりそれは視聴者や一般の読者、国民の声ですよね。今日もたまたまですけどね、本当にもうこれ見よがしに持ってきたわけじゃないけど、最近もう2万5000人の署名、岸井さん頑張んなさいよというね、とにかくいろんな風評、いろんなうわさが流れてるけど、頑張ってくださいよっていうね、これがもうずっと毎日のように来ますよ。手紙、はがきね、そしてそういう署名運動までやってくれる人たちがいるっていうのは、本当にありがたいんですよね。 これはやっぱり勇気付けられるっていうか、これは本当に頑張んなきゃいけないな、ここで引き下がっちゃいけないなっていう気持ちを非常に強くさせてくれると思いますね。 鳥越:いいですか。 金平:ちょっと青木さんが今、退席されるんで、青木さんに対してお聞きになりたい方、どなたか質問いますか。あんまり時間がないんで、もう。あ、いましたね、はい、どうぞ。神保さん。