高市氏の「電波停止」発言に対する抗議会見(全文3・質疑応答1)
政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に「電波停止」を命じる可能性に言及した高市早苗総務相の発言に抗議して、田原総一朗氏らテレビ放送関係者が29日午後2時半から都内で記者会見を行った。 参加者は田原氏のほかに、鳥越俊太郎氏、岸井成格氏、大谷昭宏氏、金平茂紀氏、青木理氏ら。 田原総一郎氏らは「私たちは怒っている」という声明を発表。「放送局の電波は、国民のものであって、所管する省庁のものではない」とし、大臣による判断で電波停止ができるというのは、放送による表現の自由や健全な民主主義の発達をうたった放送法の精神に著しく反するものだと抗議した。
労働組合がおかしいものはおかしいと言えないのか?
IWJ:インターネットメディア、IWJの高橋と申します。よろしくお願いします。皆さんに質問したいんですけれども、お隣の韓国で報道に関わる社員らの労働組合などがおかしいものはおかしいと声を上げることができると思ってるんですけども、日本はそれができないんでしょうか。先ほどもおっしゃってましたけれども今、ここに出ていらっしゃるいわゆる出役の人たちではなくて、内部の方たちが報道局の方だったり、実際記者の方だったり、その方たちが声を上げるというのは難しいんでしょうか。 青木:日本の場合ももちろん、新聞の場合だと多くの新聞に労働組合はありますし、それはそれで声を上げるということは別に不可能ではないとは思いますけれども、なかなか上がってないのが現状なのかなというふうに、僕個人には思います。僕ちょっと、韓国に長くいたので余計なことを一言だけ。先ほどどなたかが、金平さんが、報道の自由度ランキングっていうのを発表した。で、最新版だと、韓国では去年ご存じのとおり、産経新聞の記者が大統領を批判するコラムをインターネットに書いたってことで起訴されるっていうとんでもない事件が起きて、僕自身あれはもう、本当とんでもない話だなというふうには思ってますけれども、その韓国よりも実は日本のほうが報道の自由度ランキングが1つ低いというのが現状だっていうことを、ちょっと付け足させてもらいます。 大谷:日本は当然、われわれの放送メディアで言えばNHKには労働組合がありますし、民間放送連盟があります。それから民放労連、今日は民間放送連盟のほうからもこちらのお見えになっているのは、私の見える範囲で確認しております。ただ、もちろんそういう労働組合はあるんですけども、それが報道現場、われわれの言論と組合というところがどのぐらい密接になっているのかと。もちろん民間放送連盟、民放労連もさまざまなことがあるときに、声明は出しているわけです。ただ、それと例えば先ほどからお話が出てるような会社の幹部の政権との密接な関わり。これははっきり言って、労働組合側が口出しできないというような状況。経営側が暴走とまで言いませんけども、政権とそういう関わりになってる。それに対して労働組合があれこれ言えるような状況ではないということは確かだと思います。 金平:民放労連は確か、声明出しましたですよね、確かね。高市総務大臣の、確か発言に対して出したと思いますね。ただ、ご質問の趣旨でいう報道の現場とかね、それから労働組合を中心としたもっと声を上げられないのかということに関して言うと、先ほどまで出ていた、それから現場の声に代表されるような、ものすごく重苦しい息苦しさというものに支配されていて、それを跳ね返せないというようなことがあった。何度も、先ほども申し上げましたですけども、こういう会見を開くっていうのは、実はそれに対して自分たちも何か声を上げなきゃいけないというような趣旨がね、自分たちの気持ちがあったからやってるっていうことがあるんですけどね。 あと、それさっき言いましたですけど、戦後の日本のテレビ放送の歴史を勉強し直してるという話をしましたですけどね。今、私がたまたま所属してる会社の歴史っていうものを調べてみると、大昔に私たちが、私が今所属している会社では、田(でん)英夫さんという人がキャスターを解任されたことがあります。これはベトナム戦争当時の北ベトナムに取材に行って、それを放送したことが反米的だ、偏向しているというふうに自民党のいわゆる郵政族から批判されて、解任せざるを得ない状況に追い込まれたということがあるんですが、そのとき、私はこれ直接そのときはまだ入社してたわけじゃないですけど、報道局の人たちは解任された翌日から喪章を付けて職場で仕事したそうです。つまり、そういう時代の、もちろん時代が違うんですけれどもね。現場から声を上げたり意思表示をするということはものすごく大事なことだというふうに思いますし、それは1968年のことですけども。68年と2016年は全然時代が違いますからね。 ただ、その現場の空気がきちんと意思表示できるようなふうになっていないということになると、これは相当深刻なことだと思うので、この記者会見もその意味では、実は風穴を空けたいという気持ちが皆さんにあるから実現したんだというふうに私は思ってますけど。