[MOM1010]関西学院大GK宮本流維(3年)_今季2度落としていたPK戦、「打たれ強くなった」守護神のストップ
[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [12.07 インカレ予選ラウンド 東京国際大1-1(PK1-4) 関西学院大 AGFフィールド] 【写真】「えげつない爆美女」「初めて見た」「美人にも程がある」元日本代表GKの妻がピッチ登場 予選ラウンドプレーオフ唯一の東西対決となった試合は、前半は東京国際大がハイプレッシャーをかけて試合の主導権を握り、FW尾崎岳人(4年=堀越高)とFW高橋剣士郎(4年=日本航空高)が幾度も決定機を作った。ただ仕留めきれない。後半に入ると関西学院大がボールの保持率を上げて相手を揺さぶり、優位にゲームを進めるが、こちらも得点を決めることはできなかった。 試合が大きく動きを見せたのは延長戦に入ってからだった。まずは延長前半4分、東国大FW高橋のシュートをブロックした関学大DF西谷京祐(3年=関西学院高)がファウルを取られ、主審はPKをジャッジ。さらに西谷は2枚目の警告で退場処分となってしまう。ここのPKはGK宮本流維(3年=名古屋U-18)がストップして、失点を許さなかったが、同アディショナルタイムに東国大はMF竹間永和(4年=鹿島ユース)のCKからDF橋辺海智(4年=神戸U-18)が高い打点のヘディングでゴールを叩き込んで均衡を破る。 しかし数的不利を強いられ、苦しい状況に追い込まれた関学大だったが、諦めることはなかった。延長後半13分、相手DFのパスミスをFW小西春輝(3年=鳥栖U-18)がチェイスして奪い、GKの動きを見ながら冷静に決める。土壇場で振り出しに戻ったことで、決勝ラウンドへの切符はPK戦へと託されることになった。 そしてここでも活躍を見せたのが、宮本だった。東京国際大の1人目で蹴ったMF竹間のキックをミスに追い込むと、3人目で蹴ったMF吉田桂介(4年=大宮U18/長野内定)のシュートを残した足でストップ。こぼれたボールをしっかりとキャッチしてガッツポーズをみせる。そしてここまで全員が成功していた関学大は、4人目のMF鈴木慎之介(3年=米子北高)が冷静にゴールネットを揺らし、決勝ラウンドへと歩みを進めた。 今季の関学大は天皇杯兵庫県予選と関西選手権の2大会でPK戦により敗退。全国大会出場を逃している。そのどちらの試合も宮本がゴールマウスに立ち、結果に繋げられなかった。宮本は名古屋U-18時代の2021年クラブユース選手権で、準々決勝の広島戦でPKストップを見せ優勝につなげた実績を持つ。それだけにPKは「どっちかというと得意」としていた。「今年は2回勝ててなくて、苦手と得意の両方の気持ちがあった」。ただこの日は「分析通りの蹴る方向だったので、ばっちり止められた」という延長前半でのPKストップが自信につながり、PK戦でも冷静に相手を見定めて本来の力を発揮できた。 名古屋で目指したトップ昇格こそ叶わなかった宮本だが、アカデミーGKコーチを務めていた楢崎正剛さんからもらったたくさんの言葉を糧にしてきたという。「技術的な部分ももちろんなんですけど、メンタル部分でどういう気持ちの持ちようで臨むとか、ミスした後のメンタリティーの持っていき方とかを教えていただきました」。大学ではここまで思うように試合に出られていたわけではないが、レジェンドの金言を胸に日々取り組んできた。「打たれ強くなったというか、しんどい中でも努力することをやめなかった結果が今日だと思う。色んな葛藤があったんですけど、ほんとに今日やっとスタートラインに立ったなという気持ちです」と胸を張る。 肝心なところで勝負弱いと言われてきた今年の関学大が、ようやく望む舞台に立つことができた。だが勝負はここからだ。「あと1週間、しっかり修正して、初戦の関西チーム(大阪学院大)には絶対負けちゃいけない。そこに向けてただ準備するしかない」と宮本も気持ちを緩めることなく、決勝ラウンドへと挑む。