がん患者と医療者はどう分かり合えるのか――臨床腫瘍学会で患者・市民向け特別プログラム「PAP」開催
宮城県では、がん患者さんのうちがん診療連携拠点病院を受診した割合が県全体で半数に満たないなどの調査結果を受け、県が独自にがん診療に関する病院の指定を行う予定だ。これにより、がん対策基本法に基づくさまざまな取り組みがより多くのがん患者さんに届くことが期待できる。また、宮城県は東北地方で唯一がん対策条例がなかったが、医療従事者とがん経験者からの要望を受け、県議会に検討委員会が設置されるなど、制定に向けた取り組みが進んでいる。がん医療に関わる格差を解消するためには、都道府県単位で行政、立法(議会)、医療従事者、患者と市民が議論を重ねていく必要がある。 集約化が必要と考えられる代表的ながん医療には、以下がある。 ・ロボット支援下手術 ・高精度放射線治療(定位照射、強度変調放射線治療:IMRT、画像誘導放射線治療:IGRT、粒子線) ・非密封小線源治療(ルテチウムオキソドトレオチドなど) ・がんゲノム医療(がん遺伝子パネル検査) いずれも専門医などの人材要件を含む施設基準が定められている。さらに、先進医療、治験、適応外使用など選定療養、患者申出療養制度などへのアクセスも課題だ。 集約化のためには、オンライン医療連携、オンライン診療・相談、分散化臨床試験(医療機関への来院に依存しない臨床試験)など、遠隔医療の活用がポイントとなる。また、医療情報の完全な電子化、電子カルテシステムの共通化も必要だ。限られた財源と医療資源を効率的に運用していくために、さまざまなステークホルダーで議論していく必要がある。
メディカルノート