「レクサス」ブランド スポーツ化へ本気のトヨタ
レクサス「F」とは何か
LFAは、すでに2012年12月に500台の限定生産を終了している。しかし今、トヨタはLFAを頂点に見立て、その下に二階層のスポーツモデル群を構築しようとしている。具体的には「F」のバッヂを付加された高性能モデルと、「Fスポーツ」と名付けられるライトチューンモデルだ。 現時点では「F」はRCとGSに設定されている。GS Fについてはまだ十分な情報が発表されていないが、ほとんどの部分がRC Fと同様と思われる。以下、RC Fの資料を当たりながら説明を進めたい。 RC FではノーマルのRCに対してシャシーに入念な補強ブレースが追加され、「レーザースクリューウェルディング」を用いて溶接部の強度を上げた特別な仕立てが施されている。従来のスポット溶接は溶接個所の両側から電極を当てて電流を流すことで金属を溶かして接合する。スポットの位置は、一般に隣の溶接点から50ミリ以上離さないと溶接ができない。何故なら隣の接合点を経由して電流が逃げてしまい。溶接したい場所を溶かすだけの電流が流れなくなってしまうからだ。
「レーザースクリューウェルディング」はこのスポットとスポットの間をレーザー照射による溶接で線接合する技術だ。通常のレーザー溶接でも補完はできるが、レーザースクリューウェルディングにより、従来より溶接線幅を広げることが可能になり、さらなるボディ剛性の向上が可能になった。さらにフロントウインドーの接着強度を上げることでもボディ強度の向上を図っている。これらの改善は事後にパーツを組み込んで同じ結果が得られるものではなく、ボディそのものが専用品でなければできない性能向上だ。そこが「F」の最も特別な点である。
エンジンはレクサスLSに端を発するV型8気筒の2UR-GSEを搭載。IS Fにも搭載されたエンジンだが、RC Fへの搭載に際して改良が加えられた。シリンダー直噴による吸気冷却効果とポート噴射による予混合の長所を使い分けることで、12.3:1の高圧縮比を達成。吸排気バルブ可変制御と組み合わせることで、477ps(351kw)の高出力ながら低燃費を実現している。組み合わされるトランスミッションはパドル変速が可能な8段電子制御ステップATだ。 サスペンション・パーツも専用設計部品が用いられる。ナックル、ハブキャリア、アームは「F」の専用設計パーツ。これらによって位置決めとジオメトリー特性の改善を図っている。