「レクサス」ブランド スポーツ化へ本気のトヨタ
LFAとレクサスのスポーツ・イメージ
昨年末にデビューしたレクサスRC Fと、先日のデトロイトショーで発表されたレクサスGS Fは、レクサス・ブランドにスポーツイメージを紐付けるモデルになるかもしれない。少なくともトヨタはそれを狙っている。 これまでもレクサスにスポーツを標榜するモデルが無かったわけではない。2007年、レクサスは先代ISをベースにV8エンジンを搭載して動力性能を高めたIS Fを発売し、レクサス初のハイパフォーマンスカーを産み出した。 しかし、それはいかにも突発的で、レクサスのイメージに「スポーツ」を定着させるには至らなかった。有り余るパワーを持つFRでありながら、IS FにはLSD(リミテッド・スリップ・デフ)が装備されず、リアブレーキで空転側ホイールを制御する疑似LSDデバイスでお茶を濁していた。後にマイナーチェンジでLSDが搭載されるのだが、当時ライバルとして比較されたニッサンGT-Rがあまりにも本気過ぎたこともあり、ブランドに新たなイメージを加えるにしては物足りない印象が強かった。
レクサスはスポーツモデルを本気でやる気がないのか? と思っていると強烈なモデルが登場する。レクサスLFAである。LFAはフェラーリ599のエンジニアリングをトレースしたスーパーカーだ。 筆者は残念ながらLFAを運転する機会がなかったが、信頼できる同業者から、その走りの素晴らしさについての賛辞を聞かされた。通常そうした素晴らしいスーパーカーにはそれを一台のクルマにまとめ上げる、性格の際立った名指揮者がいるものだ。それが誰かを尋ねてもはっきりした答えはなかった。 果たして、主役のいない合議でそんなクルマが作れるものだろうかと疑問を持っていたところ、LFAのデザインを担当したのはかつてフェラーリで多くの作品を手掛けたフィオラヴァンティだと言う噂を耳にした。トヨタはその関与を明言していない。確証があるわけではないが、フィオラヴァンティの名を聞きおよび、個人的にはようやく得心が行った。 ただし、ここに書き添えて置かねばならないのは、例えフィオラヴァンティが関与したとしても、それを現実に一台のクルマに仕上げる技術がなければそれだけのクルマにはならない。少なくとも明確なリファレンスとしかるべき指揮者がいれば、素晴らしいクルマをまとめ上げる実力があることはLFAで証明されたと言っても良いだろう。フィオラヴァンティが関与していなければなおのことだ。トヨタは実力として本物のスポーツカーが作れるのだ。