政財界・芸能界の大物が通う「小さな診療所」の医療哲学とは…院長が明かした「いい医者、いい病院の見分け方」
医療費は減らせる
池田 近年では国全体の医療費が上昇していて、どうにかしないと医療保険制度が持続できなくなる、という懸念も高まっています。でも、そういうふうに普段から健康に気を配って、病気を未然に防ぐ、あるいは病気になっても早期に見つけて治すほうが、結果的に医療費もかかりません。 水町 そうですね。ただ検査を受けっぱなしではよくない。個人単位でも、きちんと検査を受けて病気を未然に防ぐほうがずっと安上がりですし、何より命が助かります。 池田 たとえば「タバコはがんのリスクを高める」ということは、誰でも知っていますよね。でも、タバコを吸う人はおそらくお酒も飲むだろうし、仕事が忙しくてストレスを抱えている人も多いでしょう。ですから、がんだけでなく糖尿病や不整脈などの病気を併発することがよくあります。 その点、水町先生のクリニックでは肺だけ、胃だけ、血液データなどの検査結果だけではなく、からだ全体のリスクを見ている。病ではなくその人全体を診ていると感じます。本当は日本中のクリニックで、そうした医療ができるようになるといいですよね。
一生涯つきあう医者
水町 いい内科医、特にいいかかりつけ医の条件を突き詰めれば、「患者さんとしっかり話せること」と「優れた医者の仲間がたくさんいること」に尽きると思うんです。 CTの画像を撮るだけなら簡単ですし、それを私が自分で読んで説明することもできる。でも、それでは不十分です。肺の画像なら呼吸器の専門家、しかも呼吸器内科・呼吸器外科それぞれのエキスパートに見てもらう。そして、わかったことを日常のカルテと照らし合わせながら、患者さん一人一人にお伝えする。そういう「手作りの医療」が内科医には求められていると思います。 内科の病気は、糖尿病、動脈硬化、慢性肝炎、慢性腎炎……どれも一生治らない。ですから、生涯のおつきあいをするつもりで診察しています。 池田 水町先生は患者さんの状態や病気の種類に応じて、的確な治療ができる大病院へ紹介する知見をお持ちです。でも、急病になってもなかなか緊急搬送先の病院が決まらない、どこに行けばいい治療や手術を受けられるのかわからない、というケースも多々あります。 私は、大病院で患者さんを受け入れる側の医者として、患者さんやかかりつけ医が「これなら安心できる」と思える情報を提供する義務があると考えています。すべての手術をレビューし、治療成績や合併症率をチェックして、さらにその情報を公開する。大病院を探すときには手術件数の多さよりも、そうした情報公開をしている病院かどうかを、かかりつけ医に確認してもらうのがいいと思います。
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