実は、適度に運動したほうが疲れない! 運動嫌いはどうしたらいい?【40代、50代・疲れ知らずの体をつくる生活術⑨】
3. 肩甲骨ストレッチでエネルギー工場を活性化
「疲れた~」と思ったときにまず行いたいのが、肩甲骨のストレッチ! キーワードはミトコンドリア! 「ミトコンドリアは体のすべての細胞にある細胞内小器官で、体のエネルギー工場ともいわれています。脂肪や糖を使って、体を動かすためのエネルギー『ATP(アデノシン三リン酸)』を合成します。このためミトコンドリアが減ると、エネルギーが作られずに疲れやすくなってしまいます。 このミトコンドリアは特に肩甲骨まわりの褐色脂肪細胞に多いので、ここを刺激すると増えることがわかっています。 刺激するのに効率のよい方法が、肩甲骨のストレッチです。両手を腰に当てて、ゆっくりと左右のひじを背中の後ろで近づけます。これを5回ほど繰り返すことで、肩こりが解消するとともに、エネルギーが生成され疲労が回復します」
4. 20秒の「その場スキップ」でリフレッシュ!
オフィスワークでは長時間椅子に座りっぱなしという人は多いのではないだろうか? なかなか運動もできないでいると、疲労はどんどんたまっていく。 「長時間座り続けると、死亡リスクが高まることがわかっています。人は体を動かすことで、全身の筋肉が動き、血流が促されます。これにより細胞の代謝が活発になるのです。 なかなか運動ができない環境のときは、せめて時々席を立って、20秒間のその場スキップをするのがおすすめです。腕も大きく振ることで、全身の血流がよくなります」 周囲に人がいない廊下や階段の踊り場などで行うといいだろう。
5. 脳が疲れ切ったら少しきつめの運動30分!
現代は一日中、パソコンの前に張りついて仕事をしている人、または人間関係でモヤモヤしてしまう人も多いことだろう。そんな脳が疲れたときにこそ運動が大切だ。 「運動をすると、脳内の精神の安定に深くかかわる神経伝達物質セロトニンが分泌されます。少しきつめの運動を30分行うと、抗うつ剤1錠に匹敵する効果があるといわれているほどです。 現代の生活では、脳だけが疲れていることが多いと思いますが、この状態が最もストレスを感じることがわかっています。逆に体が疲れていても、脳が元気であれば、ストレスを感じにくいのです。 特にストレスを発散するには、筋トレよりも有酸素運動が効果的です。仕事帰りに、最寄り駅からひと駅前で降りて30分間早歩きをする、もちろんジムでバイクエクササイズなどをして汗を流すのもいいでしょう」
【教えてくれたのは】 工藤孝文さん 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 イラスト/midorichan 取材・文/山村浩子